セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

十二指腸2

タイトル 消P-202:

繰り返す膵炎・膵酵素異常を契機に発見され、内視鏡的に切除し得た十二指腸重複症の一例

演者 本部 卓也(沖縄県立八重山病院・内科)
共同演者 篠浦 丞(沖縄県立八重山病院・内科), 菊地 馨(沖縄県立中部病院・消化器内科), 島袋 容司樹(沖縄県立中部病院・消化器内科), 新城 雅行(沖縄県立中部病院・消化器内科), 久保田 富秋(沖縄県立中部病院・消化器内科), 知念 健司(沖縄県立中部病院・消化器内科), 吉田 幸生(沖縄県立中部病院・消化器内科), 山田 航希(沖縄県立中部病院・消化器内科), 嘉陽 宗史(沖縄県立中部病院・外科)
抄録 [はじめに]十二指腸重複症は有病率が10万分の1という稀な疾患である。成人例では約8割の症例で何らかの腹部症状を呈し、膵炎や胆管炎、黄疸などの症状をきたすこともある。今回、繰り返される膵炎・膵酵素の上昇を契機に発見され、内視鏡で切除し得た十二指腸重複症の一例を経験したので報告する。[症例]生来健康な35歳男性。20歳代より数カ月おきに腹痛あり。`06年に膵酵素上昇を伴う上部腹部痛を認め、急性膵炎の診断で入院するも自然軽快。その後も急性膵炎を何度か起こしていた。腹部CTで急性膵炎の所見は乏しいものの、膵頭部右側に接して2cm大の嚢胞性構造を認め、当初は仮性膵嚢胞や膵嚢胞性腫瘍等が疑れた。上部消化管内視鏡では十二指腸乳頭の口側に立ち上がり急峻な粘膜下腫瘍様の病変を確認。`09年7月のERCPでは嚢胞性病変と主膵管との交通はなく、膵管ステントを挿入し経過観察の方針となる。その後、`10年5、9月の超音波内視鏡で嚢胞の内壁が腸管の内膜様の所見であったことから、重複腸管が第一の鑑別として挙がる。当院外科と協議し、径20mm弱と微小な病変であることから、`11年3月に内視鏡での切除を行うこととなる。切除にはスネアを使用。出血は少量で、切除後の重複腸管側の粘膜はAPCで焼灼。手技後の膵炎予防で膵管ステント挿入し終了。術後の経過良好で、腹痛の出現無く経過中。病理でも重複腸管に矛盾しない所見であった。[まとめ]本症には悪性腫瘍合併の報告があり、治療は外科的治療が原則とされてきた。しかしながら、基本的には良性疾患であることから、安易に膵頭十二指腸切除術を採用すべきでないとする意見もある。今回、内視鏡的に重複腸管の切除に成功したことは患者にとってメリットが大きく、文献的考察を含めその後の経過と合わせ報告する。
索引用語 十二指腸重複症, 膵炎