セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

十二指腸2

タイトル 消P-203:

十二指腸gangliocytic paragangliomaの1切除例

演者 佐々木 省三(浅ノ川総合病院・外科)
共同演者 松井 大輔(浅ノ川総合病院・外科), 柄田 智也(浅ノ川総合病院・外科), 中野 達夫(浅ノ川総合病院・外科), 北川 裕久(金沢大附属病院・肝胆膵・移植外科)
抄録 【はじめに】比較的まれな疾患である十二指腸gangliocytic paragangliomaの1症例を経験したので報告する。【患者】70歳男性【主訴】特になし【現病歴】検診にて指摘された貧血の精査のため前医を受診し、十二指腸下行部隆起性病変からの出血と診断された。諸検査の結果、病変は十二指腸gangliocytic paragangliomaの可能性が考えられ、手術のために当科に紹介された。【初診時検査所見】採血では貧血を認める以外に異常所見は認めなかった。【画像診断】上部消化管内視鏡検査では乳頭肛門側に柔らかい粘膜下腫瘍様隆起を認め、超音波内視鏡検査では実質成分、嚢胞成分が混在していた。造影CTでは後上膵十二指腸動脈から栄養される多血性腫瘤であり、十二指腸動静脈奇形が疑われた。造影MRIではT1強調像で低信号、T2強調像でやや高信号を示す多血性腫瘤であった。血管造影では後上膵十二指腸動脈から栄養され血管網を形成し静脈に早期流出にる多血性腫瘤であり、十二指腸動静脈奇形の可能性が考えられたが、内視鏡像など総合判断にてgangliocytic paragangliomaが考慮された。【手術】1群リンパ節廓清を伴う幽門輪温存膵頭十二指腸を施行した。【病理診断】腫瘍はepithelioid cell、spindle cell、ganglion-like cellの3成分が混在しており、gangliocytic paragangliomaと診断され、免疫染色の結果も合致すると考えられた。また、明らかな異型像はなく、リンパ節転移は認めなかった。【考察】gangliocytic paragangliomaは十二指腸乳頭近傍に好発する比較的まれな疾患で、粘膜下腫瘍の形態を示すため生検による術前診断が難しい場合が多く、診断のためには内視鏡所見などから本疾患を疑うことが重要である。また、本疾患の多くは良性と考えられているが、近年リンパ節転移を認めた症例の報告も認められる。本症例では異型像、リンパ節転移を認めず良性の可能性が高いが、本疾患の診断、病態把握のためには症例の蓄積、経過観察が重要であると考え報告した。
索引用語 gangliocytic paraganglioma, 十二指腸粘膜下腫瘍