セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

小腸-基礎2

タイトル 消P-215:

アスピリン起因性小腸粘膜障害における粘膜透過性と酸化ストレスの関与について

演者 福居 顕文(京都府立医大大学院・消化器内科学)
共同演者 内藤 裕二(京都府立医大大学院・消化器内科学), 半田 修(京都府立医大大学院・消化器内科学), 堅田 和弘(京都府立医大大学院・消化器内科学), 内山 和彦(京都府立医大大学院・消化器内科学), 石川 剛(京都府立医大大学院・消化器内科学), 高木 智久(京都府立医大大学院・消化器内科学), 八木 信明(京都府立医大大学院・消化器内科学), 古倉 聡(京都府立医大大学院・消化器内科学), 吉川 敏一(京都府立医大大学院・消化器内科学)
抄録 【背景】NSAIDsによる小腸粘膜障害の頻度が比較的高い事が知られるようになってきたが、その機序はいまだ多くが不明である。【目的】今回我々はNSAIDsのなかでも、近年臨床的にその小腸粘膜に与える影響が注目されているアスピリン(ASA)について、小腸粘膜障害の機序をin vitroモデルを用いて検討した。【方法】小腸上皮細胞として、分化させたヒト結腸癌細胞由来Caco2細胞を用いた。ASAを分化Caco2細胞に添加し、細胞活性をMTTアッセイとMTX-LDHで評価し細胞死の評価を行った。次に、Caco2に細胞死をひき起さない濃度/時間のASAを使用し、粘膜透過性をTransepithelial electrical resistance(TEER)、FITC-Dxtran(分子量4000)で評価した。また、小腸粘膜のTight Junctionに関与するClaudin-1,2,4,Occludin,ZO-1の発現をウェスタンブロットであわせて評価した。酸化ストレスについては蛍光プレートリーダーで定量するとともに、細胞内局在を共焦点顕微鏡で評価した。また酸化ストレスの粘膜透過性への関与を明らかにするため抗酸化剤を用い評価した。【結果】細胞死を引き起こさない濃度/時間のASA投与群においても、投与3時間以内でのTEERの低下、6時間以降のFITC-Dxtranの透過性亢進など、上皮細胞の機能的変化を起こしている可能性が示唆された。また、Claudin1,ZO-1の発現はASA投与6時間以降低下していた。ASA投与群では細胞死をおこさない濃度/時間でもミトコンドリア内で酸化ストレスの発現はASA投与1時間以内に亢進していた。以上より経時的に評価するとASA投与による酸化ストレス産生が粘膜透過性亢進に関与している可能性が考えられ、抗酸化剤を用いTEER、FITC-Dxtranについて再度評価を行ったところASA投与6時間以降のFITC-Dxtranの低下を認めた。【結語】ASA起因性小腸粘膜障害には酸化ストレス産生に伴う粘膜透過性の亢進が関与している可能性が示唆された。
索引用語 アスピリン, 酸化ストレス