セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

小腸-基礎2

タイトル 消P-217:

一酸化炭素を介した全身性炎症反応症候群における小腸障害制御機構

演者 堅田 和弘(京都府立医大・消化器内科)
共同演者 高木 智久(京都府立医大・消化器内科), 堀江 隆介(京都府立医大・消化器内科), 辻 俊史(京都府立医大・消化器内科), 寄木 浩行(京都府立医大・消化器内科), 吉田 直久(京都府立医大・消化器内科), 内山 和彦(京都府立医大・消化器内科), 半田 修(京都府立医大・消化器内科), 石川 剛(京都府立医大・消化器内科), 小西 英幸(京都府立医大・消化器内科), 八木 信明(京都府立医大・消化器内科), 古倉 聡(京都府立医大・消化器内科), 内藤 裕二(京都府立医大・消化器内科), 吉川 敏一(京都府立医大・消化器内科)
抄録 【背景】全身性炎症反応症候群は、手術、外傷、熱傷、出血性ショック、細菌感染など各種の侵襲を誘因とする全身性の急性炎症反応による症候群であり、適切な治療がなされなければ多臓器不全に進展することが知られている。また心臓、肺、肝臓に加え、小腸が全身性炎症反応症候群や多臓器不全の進展に影響を及ぼすことが知られているが、その機序については不明な点が多い。我々はこれまで全身性炎症反応症候群のモデルとして知られている両下肢の虚血再灌流モデルを用い、遠隔臓器障害としての小腸障害について小腸粘膜微小血管における好中球-血管内皮相互作用の観点からまたiNOS由来のNOの関与について報告してきた。一方ヘムオキシゲナーゼ(HO)-1や一酸化炭素(CO)を介した炎症抑制効果が種々のモデルで報告されている。今回、全身性炎症反応症候群モデルの小腸障害におけるHO-1およびCOの関与について検討した。【方法】C57BL/6マウスを用い、両下肢の虚血再灌流障害モデルを作成した。小腸粘膜におけるTNF-alpha、iNOS、HO-1蛋白を測定、組織学的検討を行った。また好中球浸潤の指標として組織中のMPO活性を測定した。同モデルを用いCO-releasing molecule (CO-RM)投与およびBach1ノックアウトマウスで同様の検討を行った。【結果】同モデルにおいて小腸粘膜中のTNF-alpha、iNOS、HO-1蛋白は増加し、またMPO活性の増加を認めた。また組織への炎症細胞の浸潤を認めた。これらの変化はCO-RMにて軽減され、またHO-1を高発現しているBach1ノックアウトマウスでは明らかに軽度であった。【結論】全身性炎症反応候群のモデルにおいて遠隔臓器である小腸粘膜において炎症反応が惹起されており、HO-1やCOによる全身性炎症反応症候群の制御の可能性が示唆された。
索引用語 ヘムオキシゲナーゼ1, 一酸化炭素