セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

小腸-臨床1

タイトル 消P-218:

OGIBにおける精査時期の検討

演者 林 靖子(昭和大横浜市北部病院・消化器センター)
共同演者 大塚 和朗(昭和大横浜市北部病院・消化器センター), 工藤 進英(昭和大横浜市北部病院・消化器センター), 小形 典之(昭和大横浜市北部病院・消化器センター), 児玉 健太(昭和大横浜市北部病院・消化器センター), 池田 晴夫(昭和大横浜市北部病院・消化器センター), 西脇 裕高(昭和大横浜市北部病院・消化器センター), 若村 邦彦(昭和大横浜市北部病院・消化器センター)
抄録 【背景と目的】バルーン内視鏡とカプセル内視鏡(CE)の普及により小腸疾患の検索は容易になってきた.obscure gastrointestinal bleeding (OGIB)では小腸の精査が必要であるが,検査時期が遅くなるに従い出血部位の同定率の低下が問題となる.そこでOGIBの精査時期と出血部位同定率の関係を明らかにすることで理想的な小腸精査時期について検討を行った.【対象と方法】2005年9月から2011年3月までに当院を受診したOGIBの164例を対象とした.これらをa.顕性出血(3日以内),b.顕性出血(4日以降),c.不顕性出血の3つの時期に分け,SBE群とCE群での責任病変と出血部位同定率について検討を行った.【結果】症例の内訳はSBE群99例(a.18,b.35,c.12),CE群65例(a14,b66,c19)であった.責任病変における潰瘍・びらん性病変の割合はSBE群でa.3/18(16.7%),b.7/35(20%),c.3/12(25%)でありCE群でa.4/14(28.6%),b.19/66(28.8%),c.7/19(36.8%)であった.Angioectasiaの割合はa.3/18(16.7%),b.3/35(8.5%),c.2/12(16.7%)でありCE群でa.6/14(42.9%),b.12/66(18.2%),c.5/19(26.3%)であった.その他に潰瘍性大腸炎やクローン病,悪性リンパ腫,粘膜下腫瘍(GIST)等が認められた.出血部位同定率は,SBE群ではa.13/18(72.2%),b.20/35(57.1%),c.7/12(58.3%)であり,CE群でa.12/14(85.7%),b.55/66(83.3%),c.14/19(73.7%)であった.【考察】責任病変においてはSBE群,CE群では疾患の差は見られなかった.SBE群はCE群よりも出血部位同定率は低い傾向があった.またSBE群では顕性出血4日目以降の出血部位同定率がさらに低下する傾向があった.一方,CE群ではSBE群に比べ,いずれの時期においても高い出血部位同定率が得られた.従って,OGIBを疑った場合には適応が許せばまずCEによる精査が望ましいと考える.病変の検索も含めCTやCE, SBEを組み合わせることがより迅速な診断と治療につなげるために重要である.
索引用語 OGIB, 出血部位同定率