セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

小腸-臨床1

タイトル 消P-222:

高齢者に対するカプセル内視鏡

演者 大森 鉄平(東京女子医大・消化器内科)
共同演者 小西 洋之(東京女子医大・消化器内科), 白鳥 敬子(東京女子医大・消化器内科)
抄録 【緒言】カプセル内視鏡(CE)は侵襲性の低い検査であり、本邦では原因不明の消化管出血(OGIB)が保険適応で、主に小腸出血性疾患の診断に用いられる。今回OGIBに対してCEを施行した高齢者と非高齢者を比較し、高齢者に対するCEの現状と留意点を報告する。【対象と方法】当院で2009年4月から2011年3月までに施行したCE109例を対象とした。高齢者群(65歳以上)50例(男性31例、女性19例)と非高齢者群(65歳未満)59例(男性32例、女性27例)に群別化し、患者背景因子、小腸病変、小腸通過時間、検査遂行の指標となる大腸到達率、CE排泄確認の有無を比較検討した。【結果】高齢者群vs非高齢者群において、高齢者群は糖尿病(20% vs 3%)、CKDstage3以上(56% vs 22%)、心疾患(46% vs 10%)の合併が有意に多く(p<0.05)、LDA(24% vs 1.6%)、抗血小板剤(40% vs 8%)服用も有意に多かった(p<0.05)。小腸病変はびらん、潰瘍、腫瘍性病変で2群間に有意差を認めなかったが、高齢者群において血管性病変(30% vs 10%)は有意に多かった(p<0.05)。小腸通過時間、大腸到達率は高齢者群:317分、86%、非高齢者群:232分、93.2%であり、小腸通過時間が高齢者群において有意に長かった(p<0.05)が大腸到達率に有意差は認められなかった。CE排泄確認の有意差は認められなかった。また滞留を1例認めた。治療として、びらん・潰瘍に対して粘膜保護剤を13例、ミソプロストールを2例に投与開始した。滞留に対して狭窄拡張術1例、活動性出血を認め輸血でもコントロール不能であった89歳の症例は、経口的ダブルバルーン小腸内視鏡で止血を行った。【結語】高齢者においてCEは小腸通過時間が長くなり検査時間を多く要する可能性が考えられたが、大腸到達率は非高齢者群との差は明らかでなかった。高齢者群においても血管性病変等の小腸病変が指摘されたことから、OGIBに対するCEは高齢者にも適した検査であると考えられた。ただし合併症として本検討で滞留を認め、その他CE誤嚥の報告もあり複数の手術歴や嚥下困難例は慎重にすべき対象と思われた。
索引用語 カプセル内視鏡, 高齢者