セッション情報 |
パネルディスカッション2(消化器がん検診学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)
超音波検査発見胆膵病変の精密検査のストラテジー
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タイトル |
消PD2-7:膵癌の肝転移の診断における造影超音波検査の有用性
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演者 |
橋本 千樹(藤田保健衛生大・肝胆膵内科) |
共同演者 |
川部 直人(藤田保健衛生大・肝胆膵内科), 吉岡 健太郎(藤田保健衛生大・肝胆膵内科) |
抄録 |
【目的】膵癌は早期から遠隔転移を有することが多く非常に予後の悪い癌である。また超音波はCTよりも空間分解能が高く、さらに超音波造影剤を使用することでコントラスト分解能も上昇し、リアルタイムに血流評価を行うことが可能で、肝疾患の診断には欠かせない検査となっている。そこで今回我々は膵癌の肝転移の診断における造影超音波検査の有用性を造影マルチスライスCT(MDCT)検査と比較検討した。【対象と方法】2010年4月から2012年2月までに当院で造影超音波検査を行った膵疾患症例103例中膵癌と診断した61例を対象とした。造影超音波検査の使用機種はGE社製LOGIQ E9で、超音波造影剤Sonazoid0.01ml/Kgを静注後、3-5分後に肝臓全体をスキャンした。プローブはC1-5、または9Lを使用した。造影MDCT検査は64列マルチスライスCTによる多時相スキャンを行った。造影超音波の結果を、手術症例は手術所見と、非手術症例は経過を考慮しMDCT所見と肝転移の診断能につき比較検討した。なお造影超音波検査は当院の倫理委員会の承認を得て患者の同意を得て行った。【成績】造影超音波で肝転移なしと診断した症例は37例あった。このうち36例は造影MDCTでも肝転移を認めなかった。この36例中16例で手術が施行されたが、2例で術中に肝転移を認めた。37例中1例でCTにて肝転移が疑われたが、EOB-MRI,PET-CTでは肝転移を認めず経過観察しているが現在転移を認めていない。造影超音波で肝転移を認めた症例は24例あった。このうち2例では造影MDCTでは肝転移を指摘できなかった。2例とも肝転移巣は大きさ5mm前後であったが経過で肝転移巣の増大を認めた。【結論】膵癌症例において造影超音波検査は造影MDCTと比較し同等以上の肝転移検出能があり、特に微小な肝転移の検出に優れる。通常の腹部超音波で悪性膵腫瘍が疑われたら積極的に造影超音波検査を施行することで、肝転移の有無を早い段階で診断し速やかに治療法の選択が行えると考える。 |
索引用語 |
膵癌, 造影超音波 |