抄録 |
【目的】FDG-PETは悪性リンパ腫の病期診断に用いられているが,小腸病変に対する有用性の検討は少ない.今回小腸(空腸,回腸)病変に対する有用性について検討した. 【対象】2004年3月より2010年12月までにDBEを施行し悪性リンパ腫小腸病変を認めた29例中FDG-PETが施行されていた18例を対象とした.病理組織はfollicular lymphoma(FL)10例,diffuse large B-cell lymphoma(DLBCL)5例,Mantle cell lymphoma(MCL)2例, Enteropathy-associated T-cell lymphoma(ETL)1例であった.【成績】18例中9例(FL3例,DLBCL3例,MCL2例,ETL1例)でFDG-PETにて集積を認めた.FL3例の内訳はG1,G2,G3を各1例ずつ認め,多発した隆起型,多発した隆起+MLP型,単発の狭窄を伴う潰瘍型であった.DLBCL3例はすべて潰瘍型であり,多発2例,単発1例であった.MCLの2例はMLP型で多発していた.ETLの1例はびまん浸潤型であった.Clinical Stage(CS)I1例,II5例,III3例,IV9例であった.腹部症状は5例で認めた.他消化管病変は4例で認めた.PS0,8例,1,1例であった.Hb平均値12,4g/dl(7.8-16.3 g/dl),LDH平均値206,2IU/l (108-342 IU/l),sIL-2R平均値2525,8U/ml (371-6880 U/ml)であった.18例中9例(FL8例,DLBCL1例)は集積を認めなかった.すべて多発病変であった.FLの肉眼型は隆起型4例,MLP型1例,MLP+隆起型3例であった.G1が4例,G3が4例であった.DLBCLの1例は潰瘍型1例であった.CSII2例,III2例,IV5例であった.腹部症状は1例で認めた.他消化管病変は6例で認めた.PS0,8例,1,1例であった.Hb平均値14,0g/dl(12,1-17,1 g/dl),LDH平均値304,9IU/l (126-1195 IU/l),sIL-2R平均値2020,4U/ml (363-7410 U/ml)であった.腹部症状の有無,他消化管病変の存在,PS,Hb,LDH,sIL-2Rに関して両群間で有意差を認めなかった.【結論】FDG-PETにて指摘できない小腸病変は多い.血液検査,臨床症状にて小腸病変の有無を診断することは困難であり,特にFLの小腸病変の診断においてDBEは重要である. |