セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

小腸-臨床2

タイトル 消P-226:

低用量アスピリン起因性胃・小腸粘膜傷害に対するレバミピドの予防効果:ボランティアを対象とした臨床試験より

演者 小嶋 融一(大阪医大・2内科)
共同演者 梅垣 英次(大阪医大・2内科), 樋口 和秀(大阪医大・2内科)
抄録 【目的】非ステロイド系消炎鎮痛剤(NSAIDs)は胃のみならず小腸においても粘膜傷害を惹起することが知られているが、その病態や障害に対する治療法・予防法については未だ明らかでない点が多い。非アスピリンNSAIDsに関しては動物実験によりその傷害メカニズムや予防法が明らかになりつつあるが、アスピリンに関しては動物を用いた基礎研究が困難であり、そのメカニズムについては明確で無い点も多い。我々は、ラットのインドメタシン起因性小腸傷害を抑制する防御因子増強薬のレバミピドを用いて、ヒトを対象とした低用量アスピリン誘発胃・小腸粘膜傷害に対するのレバミピド予防効果について検討した。【方法】健常成人男性ボランティアを対象に、無作為にオメプラゾール常用量(O)群、レバミピド常用量(R)群、レバミピド高用量(R-H)群の3群に分け、低用量アスピリンによる食道・胃・小腸病変に対する予防効果を検討した。2週間の薬剤投与前後に上部消化管内視鏡検査、カプセル内視鏡検査、便潜血反応を計測した。胃・十二指腸病変はModified Lanza Score で評価し、カプセル内視鏡を用いた小腸粘膜傷害は発赤、出血、びらん、潰瘍、浮腫、狭窄で評価した。【結果】(1) 今回検討した対象の大部分はH. pylori陰性であり、NSAIDs起因性胃粘膜傷害においてはリスクの低い被検者であった。また被検者背景に関しては3群間で有意差を認めなかった。(2) 今回の検討では食道病変を認めず、胃・十二指腸病変は、O群に比較してR-H群で有意に抑制された。(3) 低用量アスピリン投与により発赤、びらん、潰瘍などの小腸粘膜傷害を認め、レバミピド群では用量依存性に小腸粘膜傷害が抑制された。【結論】アスピリン起因性消化管粘膜傷害において、胃のみならず小腸に対するマネージメントを考慮した薬剤の選択が重要であり、胃のリスクの低い患者に対しては防御因子増強薬のレバミピド1剤で対応することが可能であると考えられた。
索引用語 NSAIDs起因性小腸粘膜傷害, レバミピド