セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

小腸-臨床2

タイトル 消P-227:

当院におけるもち(餅)イレウスの検討

演者 木村 成宏(長岡赤十字病院・消化器内科)
共同演者 西垣 佑紀(長岡赤十字病院・消化器内科), 三浦 智文(長岡赤十字病院・消化器内科), 高野 明人(長岡赤十字病院・消化器内科), 嘉戸 慎一(長岡赤十字病院・消化器内科), 中村 潤一郎(長岡赤十字病院・消化器内科), 山田 聡志(長岡赤十字病院・消化器内科), 三浦 努(長岡赤十字病院・消化器内科), 柳 雅彦(長岡赤十字病院・消化器内科), 高橋 達(魚沼病院・内科)
抄録 【目的】もち(餅)は日本の伝統的な食物である。しかし、時にもちによる消化管閉塞を来し救急外来を受診される例を経験する。今回、もちイレウスの治療方針につき検討したので報告する。
 【方法】2003年4月から2010年10月までに当院にてもちイレウスと診断し、入院加療した14名につき、retrospectiveに検討した。なお、診断に際しては、1)もちを摂食したこと、2)腸管狭窄部位の口側にCTで高吸収域の物体が確認できること、3)狭窄部位より口側の腸管は拡張していることを基準とした。
 【結果】14名は男5名(平均年齢64歳)、女9名(平均年齢65.1歳)で、全員がもちを丸呑み、もしくはよく咀嚼しないという食習慣を有しており、10/14名(71.4%)は腹部手術の既往を有していた。入院時期は8/14名(57.1%)は1月、2/14名(14.3%)は11月及び12月に発症していた。症状は腹部の疝痛を認め(100%)、歐気が12/14名(85.7%)であった。身体所見では全例に腹部圧痛を認め、筋性防御は4/14名(28.6%)で認めた。全例が絶飲食、輸液による保存的治療を選択されており、経鼻胃管は4/14名(28.6%)、イレウス管は4/14名(28.6%)に施行されていた。緊急手術を要した症例はなく、全例が保存的治療にて改善した。摂食開始までの期間は平均4.5日(2-6日)、入院期間は平均8.3日(2-17日)であった。
 【考察】もちイレウスは過去の報告では手術を施行される例も散見されていたが、自験例においては全例が手術を回避し保存的に改善しえた。もちはアミロースやアミロペクチンなどから成り、アミラーゼにより消化されるために、通過障害をきたした場合でも時間の経過とともに自然に症かされるものと考えられる。しかし、患者の病状によっては緊急手術の対象となりうるため、症例に応じた判断が最も重要である。正月近辺に腹痛を訴えて、救急外来を受診される患者の診療においてはもちイレウスの存在も念頭において問診や診察を行う必要がある。
索引用語 もち, イレウス