セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

小腸-臨床2

タイトル 消P-228:

当院で経験した閉鎖孔ヘルニア6例の検討(1男性例を含む)

演者 阿座上 聖史(高木病院・消化器内科)
共同演者 角田 千夏(高木病院・消化器内科), 梶原 慎一郎(高木病院・消化器内科), 森田 秀祐(高木病院・消化器内科), 西田 宏二(高木病院・消化器内科), 山本 一博(高木病院・外科), 下西 智徳(高木病院・外科), 檜垣 賢作(高木病院・外科), 松山 悟(高木病院・外科), 那須 賢司(高木病院・外科), 山本 匡介(高木病院・消化器内科)
抄録 【緒言】閉鎖孔ヘルニアは高齢でやせ形の女性に好発する内ヘルニアであり、かつては原因不明のイレウスとして開腹時に発見されることが多かったが、近年の画像診断の進歩により術前診断される症例が増加している。当院で2006年から2011年までに経験した6例の閉鎖孔ヘルニア(うち1例は稀有な男性例)について本邦報告例と併せて検討した。【検討項目】年齢,性,BMI,診断根拠,初診時診断,術前診断,入院から診断までの日数,嵌頓形態,術式,予後【結果】年齢は78歳から97歳までで平均85歳と高齢であり、BMIは14.5から18.9,平均16.9とやせ形であった。診断根拠はすべて骨盤CTであり、初診時に診断がついたのは4例であった。入院から診断までの日数は0から7日であり平均1.5日であった。全例診断がついてから手術施行した。嵌頓形態はRichter型4例・全係蹄型2例。腹腔鏡下手術1例を含み、全例腹腔内到達法で行った。壊死のため腸管切除を要したのは3例であった。2011年3月現在全例生存されている。【考察】閉鎖孔ヘルニアの術前正診率は、疾患の認知度が上昇しCTが普及した1991年以降飛躍的に高率となっている。しかし腸切除率には経時的変化がみられない。自験例でも腸切除を要した症例が3例あったが、これらはいずれも初診時に診断確定し速やかに手術ができた症例であった。同3例は紹介された時点ですでに腸管壊死しており、相当日経過していたことが予測できるが、その原因としてヘルニアが体表に観察されないこと、認知症のため患者の訴えがはっきりしなかったこと、Richter型ヘルニアのためイレウス症状が出にくかったことが挙げられる。また当院初診時に診断されなかった2例は腹膜刺激症状がなかったためCTが未施行であった例、CT撮影されていても所見を見落とされていた例であった。食欲不振・嘔吐や腹痛を呈すやせた老人に対しては閉鎖孔ヘルニアを念頭に置いた骨盤までのCT撮影が望ましいと考えた。
索引用語 閉鎖孔ヘルニア, 早期発見