セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

小腸-症例報告1

タイトル 消P-229:

原発性小腸癌を含む4重複癌の1例

演者 川崎 誠康(ベルランド総合病院・外科)
共同演者 今川 敦夫(ベルランド総合病院・外科), 亀山 雅男(ベルランド総合病院・外科), 山崎 圭一(ベルランド総合病院・外科), 小川 雅生(ベルランド総合病院・外科), 大場 一輝(ベルランド総合病院・外科), 藤尾 長久(ベルランド総合病院・外科)
抄録 [症例]79歳の女性。当科での大腸癌術後肝転移にて通院中であったが、腹痛を主訴に2010年2月受診した。66歳時に右乳癌にて乳房切除術、71歳時に右腎癌にて右腎摘出、76歳時に上行結腸癌(well se ly0 v0 StageII)にて右半結腸切除の既往あり。また今回の入院の1年前に肝S6 の腫瘍を認め大腸癌転移と診断、さらに3ヵ月前に残存する左腎の腫瘍を認めていたが、抗癌剤治療などは行わず経過観察していた。CTで小腸内腔の著明な拡張と壁肥厚を認め、癒着性イレウスの診断のもと入院のうえイレウス管を留置し保存治療を開始した。以後排便を認め一時的に改善したが、再び増悪。消化管透視検査で造影剤は大腸に達しているものの腸管拡張は持続し、第12病日に開腹手術を施行した。術中所見では右半結腸後の回腸・横行結腸吻合部より15cm口側の回腸に5×5cm大の腫瘤を認め、同部が閉塞起点であった。腫瘍を含めて小腸を25cm切除し口側断端にて回腸単孔式人工肛門を造設した。病理組織学的には大腸癌取扱規約に準じてtub2 si (脂肪組織)ly3 v2 n0 StageIIであり、新規病変との判断から原発性小腸癌と診断した。術後状態は改善し、2010年4月に一旦退院。小腸癌切除術後1年経過した現在、肝・腎に担癌状態であるが生存中である。[考察] 小腸癌の多くは診断が困難であり、特に腹部手術既往をもつ本症例の場合は鑑別診断に難渋したが、保存治療中に非定形的な経過を呈するイレウス症例ということで腫瘍性病変も念頭に置くべきであった。本邦で原発性小腸癌(十二指腸癌を除く)を含む重複癌の報告は、医学中央雑誌で1990年より2010年までに「小腸癌」、「重複癌」をキーワードとして検索した限り、2重癌48例、3重癌17例、4重癌3例、7重癌1例であった。本症例のような4重癌は稀であり、考察を加えて報告する。
索引用語 小腸癌, 重複癌