セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

小腸-症例報告1

タイトル 消P-230:

原発性小腸癌11例の検討

演者 須佐 真由子(東京女子医大・消化器外科)
共同演者 井上 雄志(東京女子医大・消化器外科), 上小鶴 弘孝(東京女子医大・消化器外科), 金子 由香(東京女子医大・消化器外科), 大木 岳志(東京女子医大・消化器外科), 山本 雅一(東京女子医大・消化器外科)
抄録 【目的】原発性小腸癌の発生頻度は全消化管悪性腫瘍の0.1~0.3%と報告されており、比較的まれな疾患である。典型的な症状に乏しく、早期診断が困難なため、多臓器転移や腹膜播種などを伴う進行した状態で発見されることが多いとされる。しかし、近年の内視鏡技術の向上により、比較的早期に小腸腫瘍の診断が可能となっている。今回、当科で経験した原発性小腸癌< SPAN style="FONT-SIZE: 12pt" lang=EN-US>11例についてその臨床的特徴を検討した。【対象・方法】1991年4月から2011年3月までの20年間に当科で経験した原発性小腸癌11例で、性別、年齢、主訴、原発部位、病悩期間、腫瘍マーカー、発見契機、術式、組織型、壁深達度、脈管侵襲について検討した。【結果】11例中、男性7例、女性4例。平均年齢58.7歳(47~74歳)。主訴は貧血5例、腹痛 3例、便秘 1例、嘔吐 1例、胃切除後の上部消化管内視鏡検査にて指摘されたものが1例であった。原発部位は回腸癌4例、空腸癌7例。病悩期間は2か月~4年であった。術前腫瘍マーカーは、CEA高値が1例、CA19-9高値が2例であった。小腸腫瘍の発見手段は、ダブルバルーン内視鏡2例、カプセル内視鏡1例、その他は、CT、US、消化管造影にて診断となっている。全例手術を施行しており、開腹小腸部分切除術は9例、腹腔鏡下小腸部分切除は2例であった。組織型はいずれも腺癌で、壁深達度は、pM 1例、pMP 1例、p SS 6例、pSE 3例であった。胃切除後の上部消化管内視鏡にて指摘された1例、ダブルバルーン内視鏡にて診断された1例が早期癌であったが、他は進行癌であった。リンパ管侵襲は5例、静脈侵襲は4例であった。手術時に遠隔転移を認めたものは1例(肝転移)であった。【考察】小腸癌は特異的な症状に乏しく、病悩期間が比較的長い。原発不明の貧血を認めた場合、小腸腫瘍の存在を念頭に置くべきである。小腸腫瘍診断の契機は、以前はCT、超音波、消化管造影であったが、近年では、カプセル内視鏡やダブルバルーン内視鏡にて診断となっている。消化管出血による貧血が疑われ、上下部内視鏡にて病変を認めない場合、カプセル内視鏡やダブルバルーン内視鏡検査などを行うことで、小腸癌の早期発見が可能となることが期待される。
索引用語 小腸癌, 手術