セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

小腸-症例報告1

タイトル 消P-232:

当院で切除した小腸原発悪性リンパ腫の3例

演者 田中 芳憲(南大阪病院・外科)
共同演者 原田 知明(南大阪病院・外科), 藤尾 長久(南大阪病院・外科), 葛城 邦浩(南大阪病院・外科), 三木 高平(南大阪病院・外科), 中谷 守一(南大阪病院・外科), 東野 正幸(南大阪病院・外科)
抄録 【はじめに】小腸原発の悪性リンパ腫と診断され切除した3例を経験した.【症例】症例1は50歳代,症例2および症例3は80歳代でいずれも男性であった.症例1に既往歴,家族歴とも特記すべきことはなかった.症例2は早期胃癌で局所切除を行った既往があり,症例3は前立腺癌でホルモン療法の加療中であったが,いずれも家族歴に特記すべきことはなかった.主訴は症例1が貧血による全身倦怠感,症例2は腸閉塞による嘔吐,症例3は便秘で,いずれも初診から3日以内に入院となった.入院時の血液生化学検査ではいずれの症例も貧血と低栄養を認めたが,白血球分画に異常なく,腫瘍マーカーを含めて他に著明な異常はみられなかった.症例1,2は内視鏡検査に異常なく,診断は主に腹部CT,MRI等の画像検査で行い,小腸の悪性リンパ腫もしくはGISTと診断した.症例3は上部消化管内視鏡検査で多発胃潰瘍を認め,大腸内視鏡検査ではバウヒン弁口側の回腸に隆起性病変による全周性狭窄を認めた.いずれもその生検組織から悪性リンパ腫と診断された.いずれの症例も開腹下に小腸切除を行った.発生部位は症例1が空腸上部で小児頭大,症例2は回腸中部で鵞卵大,症例3は回腸末端でこれも鵞卵大の腫瘍であった.いずれも術後経過は良好で退院となり,外来通院中である.病理組織検査で症例1はplasmablastic lymphoma,症例2がMarginal zone B-cell lymphoma of MALT type,症例3はdiffuse large B cell lymphomaと診断された.症例1は報告も少なく稀であり,治療法も確立していないため追加治療は行わずに経過観察とし,術後3年を経過した現在も無再発である.症例2および3は高齢のためリツキシマブのみの投与を行い,症例2は無再発であるが症例3は他病変が出現しており,緩和ケア治療を行っている.【まとめ】3例の小腸原発悪性リンパ腫の切除例を経験し,2例は無再発生存中である.
索引用語 悪性リンパ腫, 小腸切除