セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

小腸-症例報告1

タイトル 消P-235:

急性大動脈解離に非閉塞性腸管膜虚血症(NOMI)を合併し、救命し得た1例

演者 岡野 尚弘(さいたま赤十字病院・消化器内科)
共同演者 坂本 大(さいたま赤十字病院・消化器内科), 池澤 伸明(さいたま赤十字病院・消化器内科), 大嶋 隆夫(さいたま赤十字病院・消化器内科), 粂川 陽祐(さいたま赤十字病院・消化器内科), 塩屋 雄史(さいたま赤十字病院・消化器内科), 鎮西 亮(さいたま赤十字病院・消化器内科), 高屋 俊樹(さいたま赤十字病院・消化器内科), 笹島 圭太(さいたま赤十字病院・消化器内科), 大島 忠(さいたま赤十字病院・消化器内科), 崎村 恭也(さいたま赤十字病院・消化器内科), 甲嶋 洋平(さいたま赤十字病院・消化器内科), 家田 敬輔(さいたま赤十字病院・外科), 沖 彰(さいたま赤十字病院・外科), 勅使河原 勝伸(さいたま赤十字病院・救急医学科), 田口 茂正(さいたま赤十字病院・救急医学科), 清水 敬樹(さいたま赤十字病院・救急医学科), 東海林 琢男(さいたま赤十字病院・病理部), 安達 章子(さいたま赤十字病院・病理部), 兼子 耕(さいたま赤十字病院・病理部)
抄録 症例は60代男性。既往歴に高血圧がある。喫煙歴は40本/日を44年間。飲酒歴は焼酎5杯/日。夜間飲酒後に上腹部痛、嘔吐が出現し、他院入院となった。第2病日胸部CTでstanford B型の急性大動脈解離を認めたため当院救急搬送された。保存的加療を施行していたが軽度の腹痛、腹部膨満感は残存していた。第3病日腹部レントゲンで小腸ガスが出現した。第9病日腹部CT施行したところ腹腔内遊離ガス、小腸壁の肥厚と壁内気腫を認め、小腸壊死及び穿孔の診断で緊急手術となった。手術所見では腸間膜の血流は良好であったが、小腸が非連続的に壊死に陥っており計120cmを切除した。小腸のその他の部位にも色調不良な部位があり、壊死が拡大する可能性を考え、閉腹はしなかった。術後敗血症性ショックを合併した。第11病日第2回目の手術施行。前回と同様残存小腸に非連続的に壊死がみられ、計120cmを追加切除した。再度腸管壊死が拡大する可能性を考え、閉腹せず。第12病日より血圧が安定してきたため、プロスタグランディンE 1の持続投与を開始。第13病日第3回目の手術施行。さらに50cm程の小腸壊死を認めたため追加切除し、閉腹した。残存小腸は110cmとなった。その後順調に回復し、第24病日より経口摂取を開始した。病理検査では小腸粘膜の壊死やうっ血、炎症細胞浸潤が認められるも、腸間膜動脈に血栓・塞栓症の所見は認められなかったため、NOMIと診断した。現在全身状態は安定しており、短腸症候群に対し加療中である。NOMIは非特異的な臨床所見、さらには認知度の低さより適切に診断されていない場合が存在すると思われる。今回は急性大動脈解離を合併しており、診断に難渋した。急性腹症では常に本症を疑うことが重要であると考えられた。
索引用語 非閉塞性腸間膜虚血症, 急性大動脈解離