セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

小腸-症例報告2

タイトル 消P-237:

イレウスを契機に診断したクローン病の4例

演者 金田 浩幸(さいたま市立病院・消化器内科)
共同演者 三浦 邦治(さいたま市立病院・消化器内科), 篠崎 博志(さいたま市立病院・消化器内科), 桂 英之(さいたま市立病院・消化器内科), 柿本 年春(さいたま市立病院・消化器内科), 加藤 まゆみ(さいたま市立病院・消化器内科), 辻 忠男(さいたま市立病院・消化器内科)
抄録 5年間でイレウスを契機に診断したクローン病を4例経験したので報告する。【症例1】26歳男性、腹痛、腹部膨満感で平成18年6月1日入院となった。開腹歴なし。CTで小腸の拡張と腸液貯留を認め、イレウスと診断した。イレウス管で症状は改善した。大腸内視鏡にて回腸末端の全周性狭窄と白苔の付着を認めた。生検で肉芽腫を認めクローン病と診断し、回盲部切除を施行した。【症例2】21歳男性、腹痛で平成21年8月7日入院となった。17歳で痔瘻の手術、開腹歴なし。CTで上部空腸から胃にかけて著明な拡張と液体貯留が認められた。イレウス管で改善したが、食事開始後すぐに再発した。小腸内視鏡では、トライツ靭帯から10cmで癒着のため深部挿入はできず、生検なしで終了した。大腸内視鏡では盲腸に潰瘍瘢痕、バウヒン弁の変形狭窄と発赤が認められた。クローン病によるイレウスを疑い手術となった。空腸同士、大網に癒着が認められた。狭窄は4箇所あった。【症例3】35歳男性、腹部膨満感と嘔吐で平成22年4月7日入院となった。18歳で痔瘻の手術、開腹歴なし。CTで盲腸に不整な腫瘤性病変が認められ、盲腸癌を疑った。しかし、大腸内視鏡ではバウヒン弁の大きな潰瘍と変形があり、上行結腸は発赤、狭窄、敷石状変化が認められクローン病と診断した。右半結腸切除を施行した。【症例4】71歳女性、開腹歴なし。平成23年7月29日下痢、嘔吐で入院した。CTでは門脈ガスと空腸の拡張と液体貯留が認められた。保存的治療にて約1週間で軽快した。退院後9日目に再発した。小腸造影で上部空腸に狭窄が認められた。小腸内視鏡では縦走潰瘍と発赤、浮腫があり、狭窄していた。クローン病と診断し、腹腔鏡補助下小腸部分切除を施行した。【結論】4症例は慢性的な下痢、腹痛はなく、突然のイレウスで発症している。3例で痔瘻があり、これもイレウスを精査する上で参考になる。原因不明イレウスではクローン病も念頭に置き精査する必要があると考えられた。
索引用語 クローン病, イレウス