セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

小腸-症例報告2

タイトル 消P-238:

自己免疫性蛋白漏出性胃腸症に回盲部癌を併発した一例

演者 小林 雅邦(東京慈恵会医大・消化器・肝臓内科)
共同演者 有廣 誠二(東京慈恵会医大・消化器・肝臓内科), 小田木 勲(東京慈恵会医大・消化器・肝臓内科), 荒井 吉則(東京慈恵会医大・消化器・肝臓内科), 高見 信一郎(東京慈恵会医大・消化器・肝臓内科), 菰池 信彦(東京慈恵会医大・消化器・肝臓内科), 猿田 雅之(東京慈恵会医大・消化器・肝臓内科), 松岡 美佳(東京慈恵会医大・消化器・肝臓内科), 加藤 智弘(東京慈恵会医大・消化器・肝臓内科), 田尻 久雄(東京慈恵会医大・消化器・肝臓内科), 満山 喜宣(東京慈恵会医大・外科), 衛藤 謙(東京慈恵会医大・外科), 柏木 秀幸(東京慈恵会医大・外科), 池上 雅博(東京慈恵会医大・病理学)
抄録 【症例】74歳,男性 【主訴】発熱,水様性下痢【既往歴】68歳より慢性関節リウマチと診断され,NSAIDsで加療.【経過】1カ月前に抜歯,セフジニルおよびロキソプロフェンが処方された.内服3日後から食思不振,水様性下痢が出現したため近医を受診,炎症所見もあり同日入院となった.点滴などの加療により下痢症状は改善したが,発熱が持続するため当院に紹介転院となった. 血液検査では,高度の炎症所見,小球性低色素性貧血と高度の低アルブミン血症を認めた. 腹部造影CT検査では,十二指腸下行脚~上部空腸に連続する著明な壁肥厚と回盲部に腫瘤性病変を認めた.回盲部病変に対して大腸内視鏡を施行. 回盲弁下唇に潰瘍を伴うφ15mm大の陥凹性病変を認め,生検組織にて中~未分化腺癌と診断した.小腸病変に対して小腸内視鏡検査を施行し,同部位(十二指腸下行部~上部空腸)に連続性する白色絨毛様変化とともに多発するびらん~小潰瘍を呈し,白色乳糜様滲出液を認めた.生検組織では非特異的炎症所見であったが,リンパ管の拡張やアミロイドの沈着などの特異的な所見を認めず,確定診断には至らなかった.蛋白漏出シンチグラフィーでは,上部小腸を中心に蛋白漏出像を認め, CT検査や内視鏡検査で認めた病変範囲と一致していた.悪性リンパ腫, アミロイドーシス,感染症,リンパ管拡張症などの他疾患は否定的であり,抗核抗体が陽性より自己免疫性蛋白漏出性胃腸症と診断した. ステロイドパルス療法にてより,低蛋白血症および内視鏡所見は速やかに改善し全身状態も良好となった.ステロイド漸減後に,回盲部癌に対して右半結腸切除術が施行され,現在,経過良好である. 【結語】今回, 我々は診断に苦慮した自己免疫性蛋白漏出性胃腸症に回盲部癌を併発した一例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.
索引用語 蛋白漏出性胃腸症, 回盲部癌