セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

小腸-症例報告2

タイトル 消P-239:

抗CD20抗体によるB細胞標的療法が著効した蛋白漏出性胃腸症の1例

演者 浦岡 好華(大阪市立大・消化器内科)
共同演者 谷川 徹也(大阪市立大・消化器内科), 渡辺 公彦(大阪市立大・消化器内科), 田中 雅子(大阪市立大・消化器内科), 南野 弘明(大阪市立大・消化器内科), 大谷 恒史(大阪市立大・消化器内科), 細見 周平(大阪市立大・消化器内科), 永見 康明(大阪市立大・消化器内科), 亀田 夏彦(大阪市立大・消化器内科), 鎌田 紀子(大阪市立大・消化器内科), 十河 光栄(大阪市立大・消化器内科), 町田 浩久(大阪市立大・消化器内科), 岡崎 博俊(大阪市立大・消化器内科), 山上 博一(大阪市立大・消化器内科), 渡辺 憲治(大阪市立大・消化器内科), 富永 和作(大阪市立大・消化器内科), 渡辺 俊雄(大阪市立大・消化器内科), 藤原 靖弘(大阪市立大・消化器内科), 荒川 哲男(大阪市立大・消化器内科)
抄録 【症例】40 歳代女性【主訴】顔面浮腫【現病歴】2009年8月より顔面浮腫を認め近医受診したところ低アルブミン(Alb)血症および胸水を指摘された。蛋白漏出シンチグラフィーで胃から回腸にかけてAlbの漏出を認め、唾液分泌低下、唾液腺生検組織検査にてリンパ球浸潤を伴う唾液腺の委縮、抗SS-A抗体価の高値を認めシェーグレン症候群に併発した蛋白漏出性胃腸症と診断された。ステロイド内服及びパルス療法、オクトレオチドの投与が施行されたが奏功せず、心嚢液・胸水の貯留が増加しショック状態となり精査加療のため当院へ転院となった。全身状態の改善を図った後にシクロホスファミド、へパリン、ジピリダモール、トラネキサム酸等の投与を行うも無効であった。胃および十二指腸粘膜からの生検組織を用いた免疫組織染色ではC3とIgGの沈着を血管内皮に認めた。粘膜における血管内皮への免疫複合体の沈着が病態に関与しているものと考え、B細胞を標的としてリツキシマブ(Rtx: 375 mg/m2、週1回、計4回)の投与を行ったところ、Rtx投与3カ月後に血清Alb値は基準値内に回復し現在も病状再発を認めず経過良好である。【考察】抗CD20抗体であるRtxはB細胞悪性リンパ腫の治療に用いられるが、全身性エリテマトーデスのような自己免疫性疾患に対する治療薬としても期待されている。その作用機序として、活性化B細胞の除去や活性B細胞による自己抗体の産生の抑制効果などが想定されている。本症例においても活性B細胞により形成された免疫複合体の腸管粘膜血管内皮への沈着が病態に関与している可能性が高く、抗CD20抗体によるB細胞を標的とした治療が有効であった可能性が考えられる。【結論】抗CD20抗体によるB細胞標的療法は活性B細胞が病態に関与する蛋白漏出性胃腸症に対して有効である可能性が示唆された。
索引用語 抗CD20抗体, 蛋白漏出性胃腸症