セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

小腸-症例報告2

タイトル 消P-240:

健常者に蛋白漏出性胃腸症をきたしたサイトメガロウイルス小腸炎の一例

演者 柳本 蔵人(国保旭中央病院・消化器内科)
共同演者 紫村 治久(国保旭中央病院・消化器内科), 石垣 和祥(国保旭中央病院・消化器内科), 高橋 悠(国保旭中央病院・消化器内科), 片桐 智子(国保旭中央病院・消化器内科), 坂口 賀基(国保旭中央病院・消化器内科), 松島 知広(国保旭中央病院・消化器内科), 山本 隆一(国保旭中央病院・消化器内科), 田村 寿英(国保旭中央病院・消化器内科), 中村 朗(国保旭中央病院・消化器内科), 糸林 詠(国保旭中央病院・消化器内科), 志村 謙次(国保旭中央病院・消化器内科)
抄録 【症例】64歳女性 【主訴】入院3週間前からの間欠的な臍周囲痛 【現病歴】入院3週間ほど前から、水様下痢、間欠的腹痛、嘔気・嘔吐が出現。翌日に下痢、嘔気・嘔吐は改善するも、腹痛は持続。外来にて上部消化管内視鏡検査行うも異常なく、腹部超音波検査にて小腸壁肥厚あり、腹部・骨盤部造影CT行われ、小腸炎の所見を認め、対症療法とされた。その後、症状持続したことから、精査加療目的に入院。【経過】入院時採血にてAlb2.1と著明な低Alb症を認めた。蛋白漏出シンチグラフィーにて上部空腸に蛋白漏出性胃腸症に合致する所見が得られた。カプセル内視鏡にて上部空腸の粘膜は打ち抜き潰瘍様であり、サイトメガロウイルス(CMV)小腸炎が疑われた。ダブルバルーン小腸内視鏡(DBE)での潰瘍面からの生検にて核内封入体の形成を認め、免疫組織化学染色にてCMV陽性を示し、CMV小腸炎およびそれに続発した蛋白漏出性胃腸炎の診断となった。 血清学的にはCMV アンチゲネミア陰性、CMV IgM抗体(±)、CMV IgG抗体(+)、CMV DNA PCR陰性であった。細胞性免疫不全の原因となりうるものは検索しうる範囲で認められなかった。ガンシクロビルにて治療開始し、数日で腹痛は著明に改善。計2週間投与し、低Albも改善を認めた。治療終了後、再度DBE施行し、改善所見が得られたため、退院となった。その後経過良好であり、症状の再燃は認めていない【考察】免疫抑制状態患者におけるCMV腸炎の報告は散見されるが、健常者でのCMV腸炎はごく稀とされ、報告例は数少ない。今回我々は、健常者に蛋白漏出性胃腸症をきたしたCMV小腸炎の一例を経験したので報告する。
索引用語 サイトメガロウイルス小腸炎, 蛋白漏出性胃腸症