セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

小腸-症例報告2

タイトル 消P-241:

X線・内視鏡所見を詳細に検索し得たCeliac病の一例

演者 岸 昌廣(福岡大筑紫病院・消化器内科)
共同演者 松井 敏幸(福岡大筑紫病院・消化器内科), 八尾 建史(福岡大筑紫病院・消化器内科), 平井 郁仁(福岡大筑紫病院・消化器内科), 別府 孝浩(福岡大筑紫病院・消化器内科), 長濱 孝(福岡大筑紫病院・消化器内科), 高木 靖寛(福岡大筑紫病院・消化器内科), 大重 要人(福岡大筑紫病院・病理部), 岩下 明徳(福岡大筑紫病院・病理部)
抄録 症例は60歳代の女性。2008年6月頃より10行/日の水様性下痢が出現し、約6か月で10kgの体重減少を認めた。11月、前医入院し精査行うも確定診断に至らなかった。2009年2月、当科紹介受診し精査目的に入院となった。ゾンデ法での小腸透視検査では、十二指腸から空腸にかけて粘膜塑像でKerckring襞が不明瞭化していた。また、微細顆粒状の変化を認め、それは肛門側に至るにしたがい軽微となっていた。経口的ダブルバルーン小腸内視鏡検査および上部消化管内視鏡検査では、十二指腸から空腸にかけて粘膜塑像で小顆粒状隆起が密在していた。また、拡大観察では十二指腸球部から第2部まで微慢性に絨毛が著明に委縮していた。病理所見では、上皮内へのリンパ球浸潤を認め、絨毛は委縮し、Celiac病に矛盾しないものであった。血液検査では総蛋白5.5、Alb2.9と低蛋白血症を認めた。入院後IVHでの加療を開始し下痢症状は改善傾向を認めた。TTA-IgA(Anti-tissue transglutaminase antibody)、抗グリアジン抗体(IgA、IaG)を測定したが、陰性であった。また、HLAタイピングまで行ったがDQ2および8は検出されなかった。しかし、特徴的な内視鏡所見および病理所見からCeliac病を疑い、グルテン除去食(GFD)での食事療法を開始したところ、下痢症状の増悪なく、むしろ有形便へと移行していった。臨床経過も含めてCeliac病と診断した。しかし、その後の経過でPeripheral T-cell lymphoma,not otherwise specified (NOS)を合併した。本邦ではCeliac病は非常に稀な疾患であり、多少の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 Celiac病, 悪性リンパ腫