抄録 |
【目的】超音波検診で発見された胆嚢病変に対する造影超音波検査(造影US) の有用性を明らかにする。【対象と方法】超音波検診で発見された胆嚢隆起性病変44例を対象とした。内訳は胆嚢腺筋腫症(ADM) 24例(切除2例),胆嚢ポリ-プ17例(切除2例),胆嚢癌3例(切除3例:上皮内癌2例、ss1例)であった。病変の大きさは胆嚢癌8.9~31.9(平均16.6mm),胆嚢ポリ―プ5~13mm(平均8.6mm)で,ADMは4.1~14.3mm(平均10.2mm)であった。方法は東芝社製超音波診断装置を使用し,MI値0.1~0.3,フレームレート10~15fpsに設定した。なお,IRBの承認を得てInformed Concentによる患者同意を得た。投与直後から30秒間観察し,3分以降にMFI(Micro Flow Imaging)で観察した。造影US所見で,染影が強く造影剤粒子が病変内を不規則に走行するものを悪性所見とし,染影が弱く造影剤粒子が病変内を規則的に走行するものを良性所見とした。また,小嚢胞様エコ-を呈するものは良性所見とした。造影US所見から悪性所見を呈したものはさらなる精密検査(EUS、造影CT、MRCP)を行い、良性としたものは6か月から1年後の再検査とした。検討項目は1.各疾患における悪性所見と良性所見の出現率を検討した。2.造影USの診断能を検討した。3. 造影US後におけるEUS, CT, MRCPの検査実施率を検討した。【結果】1.胆嚢癌,胆嚢ポリープ,ADMにおける悪性所見の出現率は,それぞれ100%(3/3),35.6%(6/17),0%(0/24)。良性所見の出現率は0%(0/3),64.7%(11/17),100%(24/24),小嚢胞様エコーの出現頻度は0%(0/3),5.9%(1/17),91.7%(22/24)であった。2.悪性所見における診断能は正診率86.4%(38/44),感度100%(3/3),特異度79.5%(35/4),PPV33.3%(3/9),NPV100%(35/35)であった。3.精密検査実施率はEUS11.4%(5/44),CT27.3%(12/44),MRCP11.4%(5/44)であり,全体では31.8%(14/44)であった。【結語】造影USは超音波検診で発見された胆嚢病変に対して,低侵襲な精密検査法であり,EUS,CT,MRCPなどの検査を約1/3に減らせる可能性がある。 |