抄録 |
【目的】 胆道疾患におけるDIC-CTの有用性とその問題点を検討すること. 【対象】 2003年1月から2004年3月までDIC-CTとMRCPを同時期に施行した27例で, 男女比15:12, 平均年齢61歳 (41-82) である. 対象の内訳は胆嚢結石症21例, 胆嚢腺筋症5例, 総胆管結石症2例, 胆嚢ポリープ1例, 胆嚢癌1例, 胆管癌1例である (重複を含む). 【方法】 DIC-CTはビリスコピンを30分かけ静脈投与後, 仰臥位と腹臥位で撮影を行ない3D画像を作成した 使用機種はAquillion (東芝社製) を用い, スライス厚1mm, ヘリカルピッチ3 (HQ mode) で撮影した. 3D画像はERC近似画像, 二重造影近似画像を作成し (症例によってはvirtual endoscopyも付加), MRCP画像 (SSFSE法) と比較検討した. 検討項目は1) 胆嚢管描出率, 2) 質的診断能についてである. 【結果】 1) 胆嚢管描出率はDIC-CTで92.6% (25/27), MRCPでは70.4% (19/27) とDIC-CTで有意に胆嚢管描出率が高かった (p<0.05). 2) 質的診断能はDIC-CTおよびMRCPでそれぞれ74.1% (20/27), 81.5% (22/27)とMRCPで高い傾向にあった (n.s.). DIC-CTにおける診断不能7例の内訳は胆嚢結石症5例, 総胆管結石症1例, 胆嚢腺筋症1例であった. 胆嚢結石症の5例は全例胆嚢不影もしくは造影不十分の症例であった. MRCPにおける診断不能5例の内訳は胆嚢結石症2例, 総胆管結石症2例, 胆嚢癌1例であった. 胆嚢結石症2例とも胆嚢不影であり, 総胆管結石症の2例は5mm以下の小結石であった. 【結論】 DIC-CTはMRCPに比べ胆嚢管描出率が高く, 胆嚢摘出等の術前の解剖学的評価においては有用であると思われた. しかし質的診断能はMRCPに比べ低率であり, その原因のほとんどが胆嚢内の造影剤充満不足によるものであった. |