セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

小腸-症例報告3

タイトル 消P-249:

Churg‐Strauss症候群に合併した急性腹症の一例

演者 石田 典子(東海大・消化器外科)
共同演者 山本 壮一郎(東海大・消化器外科), 宇田 周司(東海大・消化器外科), 中郡 聡夫(東海大・消化器外科), 小澤 壯治(東海大・消化器外科), 安田 聖栄(東海大・消化器外科), 貞廣 荘太郎(東海大・消化器外科), 生越 喬二(東海大・消化器外科)
抄録 【症例】69歳、男性。【主訴】腹痛【現病歴】2010年3月発症のChurg‐Strauss症候群(CSS)で内科入院し、ステロイド維持療法中であった。5月中旬、急に腹膜刺激症状を伴う腹痛が出現し、腹膜炎疑いにて当科依頼となった。初診時現症は下腹部を中心に間欠的な自発痛と腹膜刺激症状を認めた.血液検査所見は白血球の軽度上昇を認める以外、特に異常値は認めなかった。腹部造影CT検査で少量の腹腔内遊離ガス像を認めたが、腹水は認めなかった。消化管穿孔と考え上部・下部消化管造影を行ったが穿孔部は同定されなかった。汎発性腹膜炎の診断にて試験開腹術を施行した。術中所見は食物残渣を含む混濁腹水を認め,胃および腸管を検索すると回腸末端から約100cmの口側小腸に約1cm大の穿孔部が認められた.手術は穿孔部を含めた小腸部分切除、洗浄ドレナージを施行した.術後順調に経過していたが、術後9日目に38.6℃の発熱と右季肋部痛が出現した。CT検査を再検すると腹腔内遊離ガス像及び胆嚢腫大を認めたため、縫合不全もしくは新たな消化管穿孔及び急性胆嚢炎を疑い緊急手術を施行した。再手術所見としては新たな消化管穿孔は認めず、小腸吻合部に縫合不全も認めなかった。緊満した胆嚢は黒緑色に変色し、胆嚢壁は炎症が高度で周囲の腸管と強固に癒着しており、胆嚢炎の診断にて胆嚢摘出術を施行した。病理組織診断は,胆嚢内膜は黒緑色を呈しており、壊死性胆嚢炎と診断された。小腸壁穿孔部周囲の粘膜内・胆嚢壁周囲血管への好酸球浸潤が認められ、CSSによる穿孔、壊死が示唆された。再手術後経過は良好で内科転科となった。【考察】本症例の小腸穿孔や壊死性胆嚢炎は、遷延する血管の狭窄変化による虚血が原因と考えられた。CSSのステロイド投与後1ヶ月以内は血液検査所見上、活動性を示す所見がなくても消化管穿孔を発症する可能性が高く、穿孔を起こすと死亡率が上昇するため、慎重な観察が必要である。今回、CSSに小腸穿孔と術後壊死性胆嚢炎を合併した症例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 Churg-Strauss症候群, 小腸穿孔