セッション情報 パネルディスカッション2(消化器がん検診学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

超音波検査発見胆膵病変の精密検査のストラテジー

タイトル 消PD2-10:

胆嚢二次検診における定量的評価を用いた造影腹部超音波検査の有用性

演者 松原 浩(豊橋市民病院・消化器内科)
共同演者 浦野 文博(豊橋市民病院・消化器内科), 岡村 正造(豊橋市民病院・消化器内科)
抄録 【目的】造影腹部超音波検査(CE-US)において、胆嚢病変のエコー輝度変化の定量的解析を行うこと。さらに、胆嚢二次検診におけるCE-USの有用性について検討すること。【方法】定量的解析の対象は、当科でCE-USを行った胆嚢疾患のうち、病理組織学的根拠が得られ、Time- intensity curve(TIC)による定量的解析が可能であった胆嚢癌(GBCA)8例と、胆嚢コレステロールポリープ(GBCP)7例。検診対象は、2010年4月から2011年10月までに当院健診センターにおける腹部超音波検査(US)で胆嚢病変を指摘され、CE-USを施行した42例。検診例は外科的切除を施行したか、半年以上の経過を追跡し臨床的に悪性疾患を否定した。超音波観測装置はGEhealthcare製LOGIQ E9で、造影モードはAmplitude Modulation法、mechanical index値は0.35の設定で行った。B-modeで病変描出後にSonazoid®+を投与し、造影態度を評価した。検査終了後に造影開始後の40秒間と、3分後、5分後の10秒間ずつを、超音波観測装置内蔵のソフトウェアでTICを作成し解析を行った。本検討は当院倫理審査委員会の承認を得て行った。検討項目は、1) GBCA、GBCP間で、TICによって定量化されたエコー輝度の上昇速度、上昇率、造影開始3、5分の減少率を比較した。2)胆嚢二次検診において、CE-USの造影態度とTICによる診断能を造影CTと比較した。【結果】1)造影5分後のエコー輝度の減少率は、GBCPで有意に大きかった(p<0.001)。エコー輝度の上昇速度、上昇率、3分後の減少率では有意差を認めなかった。2) 12例が造影態度によりRASを認め胆嚢腺筋症、11例が非造影病変として胆砂と診断され、残り19例に対して1)で得られた5分後の減少率のカットオフ値により減少率50%以上を良性、50%以下を悪性とすると、検診例におけるCE-USの良悪性診断は感度95.1%、特異度100%、正診率92.9%であり、造影CTの87.8%、100%、88.1%より優れていた。【結論】CE-USは、TIC作成により胆嚢病変の定量的解析が可能であった。また、TICを加えたCE-USは胆嚢二次検診のオプションとなりうる。
索引用語 造影腹部超音波検査, Time- intensity curve