セッション情報 |
ポスターセッション(消化器病学会)
クローン病-小腸
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タイトル |
消P-256:炎症性腸疾患患者の血清IgG4値と膵酵素異常との関連
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演者 |
新井 勝人(昭和大病院・消化器内科) |
共同演者 |
竹内 義明(昭和大病院・消化器内科), 大石 千歳(昭和大病院・消化器内科), 井廻 道夫(昭和大病院・消化器内科) |
抄録 |
【目的】IgG4関連疾患は、膵臓をはじめ多臓器へのIgG4陽性形質細胞の浸潤を特徴とする全身性疾患であり、最近、消化管粘膜への浸潤も報告されている。また、炎症性腸疾患(IBD)の一部には消化管粘膜にIgG4陽性細胞浸潤を認めることが報告されている。一方、IBDの腸管外合併症として膵炎や血清膵酵素の上昇が少なからず認められる。そこで我々は、IBD患者における血清IgG4の陽性率および平均値を健常者と比較し、さらに血清IgG4値と膵酵素異常との関連を検討した。【方法】対象はIBD 群133名(潰瘍性大腸炎(UC)103名、男女比50:53、平均年齢36歳、クローン病(CD)30名 、男女比19:11、平均年齢36歳)、コントロール群(年齢、性別をマッチさせた健常者)65名である。血清総IgG、IgG4、アミラーゼ、膵アミラーゼ、リパーゼ、肝胆道系酵素を測定し、陽性率と値を群間比較した。IgG4陽性のIBD症例では、罹患粘膜におけるIgG4陽性細胞の有無を免疫組織学的に検討した。また、各群間でのIgG4陽性例と陰性例における膵酵素値の異常頻度を比較検討した。群間比較はStudent’s t-test およびchi-square test を用いた。【成績】血清IgG4陽性はIBD群 5例(UC2例、CD3例)(3.8%)、コントロール群1例(1.5%)であり、群間に有意差は認めなかった。IgG4の平均値はIBD群29.99 mg/dl (四分位範囲 9.38-32.33)、コントロール群29.49 mg/dl (同 11.25-34.1)であった。血清膵酵素のいずれかが上昇していたのはIBD群21例 (16%)、コントロール群4例 (5.9%)であったが(P=0.02)、IBD群のうちIgG4が陽性であった全5例の膵酵素はいずれも正常であった。IgG4陽性IBD患者の粘膜組織内IgG4陽性細胞は有意な浸潤はみられなかった。【結論】IBDにおける血清IgG4陽性率は健常者と同等であった。膵酵素異常はIBD患者で健常者より多くみられたが、血清IgG4値との関連はみられなかった。 |
索引用語 |
IgG4関連疾患, 炎症性腸疾患 |