セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

クローン病-大腸1

タイトル 消P-258:

CT enterographyによるクローン病小腸病変の手術適応の評価

演者 竹内 健(浜松南病院・消化器病・IBDセンター)
共同演者 飯田 貴之(浜松南病院・消化器病・IBDセンター), 花井 洋行(浜松南病院・消化器病・IBDセンター), 渡辺 文利(浜松南病院・消化器病・IBDセンター), 阿部 仁郎(浜松南病院・消化器病・IBDセンター)
抄録 【目的】CT entetrography(CTE)は被験者の負担が少なく安全な検査法として欧米で広く使用されており、腸管外病変の評価も可能なことから、クローン病において有用性が認められている。外科的治療適応を判断する画像診断法としてのCTEの有用性を検討した。【方法】2006年7月~2010年12月までにCTEを行った後に手術を受けたクローン病患者9例(男性6例、女性3例)について、同時期にCTE及び内視鏡検査において小腸活動性病変が指摘され手術を2年以上回避できている6例とCTE所見を比較するとともに、術前のCT画像所見と手術検体を比較し、CT画像による外科治療の適応について考察した。CTEは内視鏡検査時に小腸内に送気し腸管拡張を行う方法もしくはクエン酸マグネシウム等張液を経口的に投与する方法で施行した。【成績】手術を受けた9例全例が、回腸末端部に5カ所以上の多発あるいは20cm以上の潰瘍による高度狭窄を来していた。また、5例で内・外瘻を2例で腸管癒着を認めた。CTEではいずれの病変も明瞭に描出されており、手術回避例と比較し狭窄部の腸管壁肥厚は高度かつ腸管壁は均質であり、comb signなどの血管拡張像は明瞭ではなく、これらの所見は慢性炎症による繊維化と一致していた。9例中2例ではTTS-balloonによる拡張術も試みられたが、腸管癒着のため内視鏡挿入が困難であり十分な効果が得られず、別の2例ではCTE後1ヶ月以内に穿孔を起こし手術となっていた。9例中、経過が追跡できている8例では、AZAもしくはIFXの導入など適切な内科治療の導入により臨床的寛解が現在まで継続していた(平均27.4ヶ月(4-34ヶ月))。【結果】CTEは外科治療の適応判断において病変の範囲、炎症の程度など適切かつ十分な情報を与えうるデバイスである。CTEにおいて多発性かつ長い狭窄性病変で、腸管壁の均質な肥厚、血管拡張像が不明瞭などの所見がある症例では外科治療の適応と考えられる。また、外科治療を適切に行うことによりその後の内科治療効果が改善する可能性が示唆された。
索引用語 クローン病, CT enterography