セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

クローン病-大腸1

タイトル 消P-260:

Crohn病のUC類似病変合併例の臨床的検討

演者 松本 雄太(北里大東病院・消化器内科)
共同演者 横山 薫(北里大東病院・消化器内科), 加藤 彩(北里大東病院・消化器内科), 中目 鉄平(北里大東病院・消化器内科), 迎 美幸(北里大東病院・消化器内科), 小川 大志(北里大東病院・消化器内科), 佐田 美和(北里大東病院・消化器内科), 小林 清典(北里大東病院・消化器内科), 小泉 和三郎(北里大東病院・消化器内科)
抄録 【目的】Crohn病(CD)と潰瘍性大腸炎(UC)の増加とともに、鑑別診断が難しい症例や、経過中に非定型病変を合併する症例が少なくない。本検討では、CDに合併したUC類似病変の特徴を明らかにすることを目的とした。【方法】当院で経験したCD 425例のなかで、UC類似病変を合併した8例(1.9%)を対象とした。CDの発病年齢は18.5±1.2歳、罹病期間は19.1±5.1年で、病型は小腸大腸型7例、大腸型1例であった。肛門病変を6例(75%)に認めた。大腸内視鏡で評価したUC類似病変の発現部位や内視鏡所見の特徴、さらに経過観察中の変化などについて検討した。【成績】1) UC類似病変の診断時期は、初診時が3例(37.5%)、経過観察中が4例(50%)であった。また当初はUCと診断し、手術後にCDと診断された症例が1例あった。2)UC類似病変の発現部位は、盲腸(C)~S状結腸(S)とS~直腸(R)までが各2例(25%)、C~R、C~下行結腸(D)、横行結腸(T)~R 、T~Dが各1例(12.5%)であった。直腸にUC類似病変を認めたのは4例(50%)のみであった。3)UC類似病変はUC典型病変と比較し、腸管の発赤や浮腫、びらんなどが軽い傾向があった。病理組織学的には、非乾酪性類上皮細胞肉芽腫が5例(63%)で検出されたが、UC類似病変部にも3例(38%)で認められた。4)治療は5-ASA製剤が全例、副腎皮質ステロイドが6例(75%)、Infliximabとazathiopurineが各2例に投与されていた(重複あり)。経腸栄養療法は4例(50%)に行われていた。外科手術は1例のみであった。5)UC類似病変に対して大腸内視鏡による経過観察を5例に行い、3例(60%)は縦走潰瘍や敷石像などのCD典型病変へ進展、2例は瘢痕化していた。【結論】CDにUC類似病変が合併する場合があり、確定診断には小腸や上部消化管の検索と、生検組織診断が重要である。またCDの典型病変へ進展する場合があり、大腸内視鏡による経過観察が必要である。
索引用語 クローン病, UC類似病変