セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

クローン病-大腸1

タイトル 消P-262:

Crohn 病に合併した直腸肛門管癌の特徴と癌サーベイランス法の検討

演者 杉田 昭(横浜市立市民病院・外科)
共同演者 小金井 一隆(横浜市立市民病院・外科), 辰巳 健志(横浜市立市民病院・外科), 山田 恭子(横浜市立市民病院・外科), 黒木 博介(横浜市立市民病院・外科), 岡本 経子(横浜市立市民病院・外科), 中尾 紗由美(横浜市立市民病院・外科), 木村 英明(横浜市立大市民総合医療センター・炎症性腸疾患センター), 鬼頭 文彦(横浜市立市民病院・外科), 福島 恒男(松島クリニック)
抄録 【目的】Crohn病に合併した直腸肛門管癌の特徴をretospectiveに分析し、癌サーベイランス法確立の可能性を検討した。【対象】自験Crohn病1087例のうち癌合併は18例(1.7%)で、最も多くを占めた直腸肛門管癌16例(1.5%)の特徴を分析した。【結果】症例は痔瘻癌を除く直腸肛門管癌11例、痔瘻癌5例で、直腸空置例が4例(25%)を占めた。1)痔瘻癌を除く直腸肛門管癌11例:Crohn病平均罹病期間は18年、癌診断時平均年齢は41歳で、全例、下部直腸が癌に占拠され、IV型が6例(55%)、粘液癌が7例(64%)と最も多く見られた。癌発見の動機は全例、臨床症状の変化であった(狭窄5例、下血、会陰部腫瘤、粘液排出増加それぞれ2例)。進行度はstage IIが5例、IVが3例と多くを占め、直腸切断術10例、骨盤内臓全摘術1例施行後の生存率(平均観察期間62カ月)は73%(8/11例)であった。2)痔瘻癌5例:痔瘻平均罹病期間は16年(7-25年)、癌診断時平均年齢39歳で、粘液癌が2例、中分化腺癌2例、扁平上皮癌1例であった。癌発見の動機は狭窄1例、会陰部腫瘤4例で、stage IIが3例、IVが2例であり、直腸切断術3例、腫瘤切除1例、化学療法1例の予後は平均39カ月の経過観察で、生存率60%であった。【結論】長期にわたる直腸病変、空置直腸、痔瘻をもつCrohn症例で、狭窄、下血、粘液排出などの臨床症状の変化がある際に指診、大腸内視鏡検査、細胞診、生検を行なうことで早期の癌診断の可能性がある。癌サーベイランス法の確立の可否を検討するため、10年以上経過した直腸肛門病変(空置例を含む)を対象に、大腸内視鏡検査、外来、または腰麻下での細胞診を併用した生検を行い、癌発見率、検査に伴う合併症の検討を多施設で行うことが必要と考えられる。
索引用語 Crohn病, 直腸肛門管癌