セッション情報 パネルディスカッション2(消化器がん検診学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

超音波検査発見胆膵病変の精密検査のストラテジー

タイトル 内PD2-11:

超音波検査発見胆嚢隆起性病変における超音波内視鏡 (EUS) および造影 EUS の有用性についての検討

演者 石川 卓哉(名古屋第一赤十字病院・消化器内科)
共同演者 春田 純一(名古屋第一赤十字病院・消化器内科), 山口 丈夫(名古屋第一赤十字病院・消化器内科)
抄録 【目的】超音波検査 (US) で発見された胆嚢隆起性病変における超音波内視鏡 (EUS) および造影 EUS の有用性について検討すること。 【方法】2009年1月以降、検診またはスクリーニングのUS で胆嚢内に5mm以上の隆起性病変を指摘され、当院で EUS を施行した32例 (男女比 17: 15、平均年齢 54.3歳、平均観察期間17.3か月) と造影 EUS を行った16例について画像所見をretrospective に検討した。18例は切除標本、14例は半年以上の経過観察により最終診断した。最終診断はコレステロールポリープ (CP) 12例、胆嚢癌 (GBK) 3例 (m 癌2例、ss 癌1例)、過形成性ポリープ (HP) 2例、腺腫 1例、異所性膵 1例 、胆石 9例 (うち胆泥7例)、腺筋腫症 (ADM) 3例、異常なし1例で平均腫瘍径は10.4mm (5-17) だった。【結果】病変は全例EUSで描出可能であった。CP 12例は全例有茎性で10例が高輝度多粒子構造を示し、7例が多発していた。GBK 3例中ss 癌1例は広基性であったがm癌2例は有茎性で1例の術前診断はCPだった。HP 2例、腺腫 1例も有茎性で術前診断は1例がGBK、2例がCPであった。非腫瘍性病変13例中、3例は隆起内にRAS、2例は音響陰影を認め、それぞれADM、胆石と診断した。胆泥7例中1例は検査中に形態変化を認め、6例は造影EUSで内部に造影効果がないことから診断した。造影EUSを行った腫瘍性病変9例 (GBK 2例、HP 2例、腺腫1例、CP 4例) では、いずれも早期より基部に樹枝状の血流を認め、造影により基部を確認、最深部の深達度を予測し得た。異所性膵は粘膜下腫瘍様形態を呈し、腫瘤内に一部造影されない無エコー域を認めた。造影を含めたEUSの良悪性診断における感度、特異度、正診率はそれぞれ、66.7%、93.1%、90.6%だった。【結論】EUSは胆嚢隆起性病変の診断において高い診断能を示したが、単発の有茎性病変では良悪性の鑑別が困難なものもあった。造影EUSは胆泥などの非腫瘍と腫瘍の鑑別、腫瘍性病変の基部、深達度診断の予測に有用であった。
索引用語 胆嚢隆起性病変, 超音波内視鏡