セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

クローン病-大腸2

タイトル 消P-268:

クローン病に対するInfliximab術前投与例の検討

演者 二見 喜太郎(福岡大筑紫病院・外科)
共同演者 東 大二郎(福岡大筑紫病院・外科), 永川 祐二(福岡大筑紫病院・外科), 石橋 由紀子(福岡大筑紫病院・外科), 三上 公治(福岡大筑紫病院・外科), 納富 かおり(福岡大筑紫病院・外科), 前川 隆文(福岡大筑紫病院・外科)
抄録 目的:今日、本邦においてもInfliximab(IFX)はクローン病に対する内科的治療の最も重要な薬剤の一つになっており有用性の報告も多くみられる。今回、腸管病変に対して術前にIFX投与を行なった症例を対象として、手術時の背景および周術期の安全性を検討した。対象:2010年12月までに腸管病変に対して初回手術を行ったクローン病327例中、術前にInfliximab(以下IFX)が投与された28例を対象とした。手術時年齢26.2歳、男女比は19対9、病型は小腸型4、小腸大腸型21、大腸型3例、手術理由は穿通型15、非穿通型13例であった。方法:28例の背景、ならびに手術理由、術後合併症を検索し、有用性とともに周術期の安全性を検討した。結果:28例の背景として、発症年齢16.8歳、手術時年齢26.2歳、発症から手術までの病悩期間112.8ヶ月で、このうち治療期間は96.3ヶ月、5.2回の入院治療を要していた。手術理由は穿通型15例、非穿通型13例で、うち5例(17.9%)に緊急手術を行った。緊急手術のうち分けはイレウス2例(複数箇所の狭窄1例、結腸の長い狭窄1例)、出血1例(回盲部露出血管)、穿孔1例(横行結腸)、後腹膜膿瘍1例(S結腸領域)であった。術後合併症は28例中3例(10.7%)に生じ、うちわけは呼吸器合併症(ARDS)1例、急性胆嚢炎1例、創感染1例で3例ともにステロイド剤併用例であった。呼吸器合併症の1例はAZA、MPNも併用されており術後残存腸管からの出血もみられた。結語:IFXの有用性を示唆する結果として自験例のIFX非投与例(71.6ヶ月)に比べ、より長い病悩期間(112.8ヶ月)が得られた。また、術後合併症の3例もステロイド剤併用例でIFXのみを使用した症例には術後合併症はみられなかった。問題は手術時の病態として緊急手術が高率にみられたことであり、IFXの効果を過剰に期待することなく病態ならびに諸所見から適否を見きわめ適切なタイミングで外科治療の介入をはかることが重要と考える。
索引用語 クローン病, Infliximab