セッション情報 |
ポスターセッション(消化器病学会)
クローン病-大腸3
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タイトル |
消P-270:Hydrocortisone前投与によるInfliximabのInfusion Reactionの軽減についての検討
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演者 |
猿田 雅之(東京慈恵会医大・消化器・肝臓内科) |
共同演者 |
有廣 誠二(東京慈恵会医大・消化器・肝臓内科), 松岡 美佳(東京慈恵会医大・消化器・肝臓内科), 菰池 信彦(東京慈恵会医大・消化器・肝臓内科), 中尾 裕(東京慈恵会医大・消化器・肝臓内科), 荒井 吉則(東京慈恵会医大・消化器・肝臓内科), 山崎 琢士(東京慈恵会医大・内視鏡科), 加藤 智弘(東京慈恵会医大・内視鏡科), 田尻 久雄(東京慈恵会医大・消化器・肝臓内科) |
抄録 |
【背景】Infliximab(IFX)はTNF-αに対するキメラ型モノクローナル抗体で、クローン病(CD)や潰瘍性大腸炎(UC)に対して極めて有効である。しかしIFXが異種抗体の蛋白製剤であるために、投与時にInfusion Reaction(IR)が時に発生し、その発現率は約5%と報告されている。IRは重篤な反応を示すことがあり、その発現を抑制することは非常に重要である。【目的】CDおよびUCのIFX投与直前にHydrocortisoneを投与することによる、IR発現の軽減の可能性について検討する。【方法】当科で2007年10月~2011年3月に、前投与としてHydrocortisone点滴後にIFX投与を受けたCD44例、UC11例、計666回投与(CD631回、UC35回)を検討した。Hydrocortisoneは200mgを生理食塩水に溶解し15分間で投与し、IFXは5mg/kgで2時間で投与した。IFX投与中ならびに終了後の患者の症状を観察した。また、軽度IR例は、次回以降のIFX投与3日前から抗ヒスタミン剤を併用することとした。【成績】IFXによるIRは、CDで投与回数の0.6%(4/631回)、UCで2.9%(1/35回)で認められ、2003年米国で報告されたCDの大規模センター試験の5.4%(26/479回)と比較し有意に低かった。IRの症状は、かゆみや膨疹など蕁麻疹症状で、4例に認めたがいずれも軽微で、投与5回目以内に発現した。重度IRは呼吸苦で、CDで投与回数の0.15%に認められ、米国の報告1.0%よりも低率であった。患者数では、CDの9.1%(4/44症例)、UCの9.1%(1/11)に発現し、日本のCDのIFX使用成績調査の9.1%と同率であった。Azathioprine併用の有無では、併用なし群でIR発生率が低かった。軽度IR症例では、抗ヒスタミン剤の併用でCD4例のうち3例、UC1例でIFX投与を継続できたが、CD1例は再度の重度IRのためIFX継続投与を中止した。なお、全例で感染症の発生は認めなかった。【結論】Hydrocortisoneの前投与を行うことで、IFX投与によるIRの発現を軽減させることが示唆された。 |
索引用語 |
Infliximab, Hydrocortisone |