セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

クローン病-大腸3

タイトル 消P-272:

クローン病に対するAdalimumabの使用経験

演者 桂田 武彦(北海道大大学院・消化器内科学)
共同演者 石 忠明(北海道大大学院・消化器内科学), 平山 剛(北海道大大学院・消化器内科学), 小林 和夏(北海道大大学院・消化器内科学), 浅香 正博(北海道大大学院・消化器内科学), 武田 宏司(北海道大・薬学部臨床病態解析学)
抄録 【目的】抗TNF-α抗体であるInfliximabが2002年に発売され、クローン病治療は大きく変化した。2010年10月、新たにAdalimumabがクローン病に対して適応追加となり、抗TNF-α抗体療法も選択肢ができたわけだが、どちらの薬剤を使用するのか明確な基準は決まっていない。Adalimumabは全例調査対象となっており今後の成績の報告が待たれるところである。【方法】当科にてAdalimumabを使用したクローン病症例について、その効果、認容性を検討した。【成績】2011年4月現在で、Adalimumabを使用したクローン病患者は13例(男性6、女性7)であった。うち6名はInfliximab不耐、不応症例であり、7例は生物学的製剤の使用歴がなかった。効果は8/13が有効で1/13が不変、3/13が未評価であった。現時点での検討では、生物学的製剤の使用歴の有無により効果に差は見られなかった。副作用は、注射部位皮膚反応が1例で投与継続、1例が関節痛により中止(以前にInfliximabを投与し中止となった時と同様の関節痛が出現)、1例で回腸狭窄による腸閉塞を発症し手術を必要とした。【結論】症例数が少なく観察期間も短いため今後の蓄積、検討が必要であるが、現時点でのAdalimumabの治療効果は過去の治験などで得られた成績と同等と考えられた。副作用については、関節痛の1例についてはInfliximabと同様の副作用が出現しており、抗TNF-α抗体治療そのものに対する副作用であることが疑われた。注射部位反応は想定内の副作用であるが、狭窄、腸閉塞については過去にInfliximabでも議論となり、TREAT試験によりInfliximabとの関連が否定された経緯がある。AdalimumabでもInfliximabと同様に副作用との関連について今後の検討が必要である。
索引用語 クローン病, Adalimumab