セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

クローン病-大腸3

タイトル 消P-273:

クローン病に対するアダリムマブ治療効果の検討

演者 星野 美奈(獨協医大病院・消化器内科)
共同演者 中野 正和(獨協医大病院・消化器内科), 松丸 真琴(獨協医大病院・消化器内科), 富永 圭一(獨協医大病院・消化器内科), 菅家 一成(獨協医大病院・消化器内科), 平石 秀幸(獨協医大病院・消化器内科)
抄録 【目的】使用可能となったアダリムマブのクローン病患者に対する有効性と安全性を患者背景別に明らかにすることを目的とした。【方法】クローン病患者にアダリムマブを初回160mg、2週後に80mg、以降隔週ごとに40mgを投与し有効性、安全性を検討した。投与前に活動期(CDAI150以上)で、0週、2週、4週のCDAI、CRPが評価可能であった症例を対象とした。インフリキシマブ治療歴(naive/switch)、罹病期間、投与前CRP値などの患者背景別に有効性を比較検討した。【結果】クローン病患者21例にアダリムマブの投与を行い、評価が可能であった症例は15例だった。平均年齢31.8歳、男性10例/女性5例、平均罹病期間128.5ヵ月、平均CDAI266.3、平均CRP2.4mg/dl、小腸大腸型13例/大腸型2例、5-ASA併用9例/ステロイド併用2例/免疫調節剤併用5例/経腸栄養剤併用14例、naive 6例/switch 9例(不応+不耐1例/不応4例、不耐4例)であった。アダリムマブ投与2週後、4週後の寛解率(CDAI150未満)は46.7%、66.7%だった。平均CDAIは投与前の266.3から2週後136.3(p<0.001)、4週後130.0(p<0.001)と投与2週後から有意な低下を示した。平均CRPも投与前2.4mg/dlから2週後0.8mg/dl(p=0.028)、4週後0.9mg/dl(p=0.030)と投与2週後から有意に低下した。痔瘻からの排膿、肛門疼痛の消失・軽減は、それぞれ40.0%(2/5)、66.7%(4/6)に認められた。naive 6例の0週-2週-4週の平均CDAI247.0-138.8(p=0.045)-121.8(p=0.018)、switch 9例の279.1-134.5(p=0.008)-135.4(p=0.009)は類似した推移を示し、2週後から有効性が認められた。罹病期間5年以上の11例と5年未満の4例、投与前CRP1mg/dl以上の7例と1mg/dl未満の8例の検討でも有効性の違いは認められなかった。特筆すべき有害事象はなく全例において投与継続されている。【結論】活動期クローン病に対し、アダリムマブは早期から高い有効性を発揮し忍容性も良好だった。インフリキシマブ治療歴、罹病期間、投与前CRP値に関わらず有効性が期待出来る。
索引用語 クローン病, アダリムマブ