セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

クローン病-大腸4

タイトル 消P-279:

当院でのクローン病に対するレミケードTop down療法についての検討

演者 渡邊 一雄(国立福山医療センター・消化器科)
共同演者 豊川 達也(国立福山医療センター・消化器科), 岡本 明子(国立福山医療センター・消化器科), 宮阪 梨華(国立福山医療センター・消化器科), 堀井 城一朗(国立福山医療センター・消化器科), 藤田 勲生(国立福山医療センター・消化器科), 合原 大博(国立福山医療センター・消化器科), 寺尾 正子(国立福山医療センター・消化器科), 村上 敬子(国立福山医療センター・消化器科), 坂田 達朗(国立福山医療センター・消化器科), 友田 純(国立福山医療センター・消化器科)
抄録 【目的】Infliximab(IFX)の登場により、クローン病(CD)に対する高い寛解導入率が得られ、それに伴い患者のQOLは大幅に向上した。近年、発症早期から既存治療に先んじてIFXを導入するTop down療法(TD)が提唱され、良好な治療成績が報告されている。当科においてTDを施行した患者についてその有効性を検討した。【方法】当科でのTDはクローン病発症1年以内でレミケードを投与し、寛解導入後8週おきに維持投与する方法と定義した。当院にてCDと診断された症例のうち、TDを施行し、1年以上経過観察した8例(TD群)を対象とした。また、TDではなく、Step up療法としてIFXを導入した18例(SU群)と比較し、それらの患者背景、治療効果、安全性、経過などを検討した。患者背景としては病型、病悩期間、腸管合併症の有無、手術歴、免疫調節剤併用の有無、IOIBDスコア等の因子につき検討した。治療効果の判定はIFX投与前、投与開始後6ヶ月後のAlb値、Hb値、CRP値の変化にて行った。経過についてはIFX導入後のイベント発生率を検討した。イベント発生とはイレウス、拡張術、手術、IFXの投与期間短縮とした。【成績】患者背景について検討すると、SU群はTD群に比べ、病悩期間、腸管合併症、手術歴が有意に多かった。その他の因子については有意差を認めなかった。IFX導入前の腸管合併症や手術歴の有無とIFX挿入後のイベント発生率には有意差は認めなかった。治療効果についての検討では、両群に有意差を認める項目はなかったが、経過においてSU群がTD群に比べIFX導入後のイベント発生率が高い傾向にあった(TD群12.5% SU群50% p=0.09))。両群ともIFX導入による副作用は認めなかった。【結論】腸管合併症や手術歴を有していても、CD発症早期からIFX導入がなされている症例ではIFX導入後のイベント発生率が低く、病勢コントロールの上ではTop down療法が有用であることが示された。
索引用語 クローン病, インフリキシマブ