セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

クローン病-大腸5

タイトル 消P-281:

顆粒球吸着療法により寛解導入効果が期待されるクローン病の特徴

演者 柾木 喜晴(市立室蘭総合病院・消化器科)
共同演者 田中 浩紀(札幌厚生病院・IBDセンター), 一色 裕之(市立室蘭総合病院・消化器科), 川上 賢太郎(市立室蘭総合病院・消化器科), 内藤 崇史(市立室蘭総合病院・消化器科), 久保 俊之(市立室蘭総合病院・消化器科), 中垣 卓(市立室蘭総合病院・消化器科), 佐藤 修司(市立室蘭総合病院・消化器科), 清水 晴夫(市立室蘭総合病院・消化器科), 金戸 宏行(市立室蘭総合病院・消化器科), 近藤 哲夫(市立室蘭総合病院・消化器科), 山下 真幸(札幌厚生病院・IBDセンター), 本谷 聡(札幌厚生病院・IBDセンター), 今村 哲理(札幌厚生病院・IBDセンター)
抄録 【背景と目的】顆粒球吸着療法(GMA)はクローン病(CD)に対する治療選択肢として期待されているが,インフリキシマブ(IFX)二次無効例に対する効果は明らかにされておらず,有効例・著効例の特徴に関する詳細な検討もなされていない.今回我々は,GMAにより寛解導入効果が最も期待されるCDの特徴を検討した.【対象と方法】GMAが施行されたCD 15例を対象とした(男性 5例/女性 8例,平均年齢 31.7歳,平均罹病期間 121.3ヶ月,平均CDAI 321.6±92.0,大腸型 4例/小腸大腸型 10例/小腸型 1例,IFXナイーブ 3例/二次無効 12例,手術歴有り 6例,瘻孔有り 3例,GMA平均施行回数 8.8回).CDAI 150未満を寛解,CDAI 70以上減少を有効とし,GMA治療前・GMA 3回施行後・GMA終了時(または中止時)のCDAIを比較検討した.さらに,寛解率・有効率に影響を与える患者背景について詳細な検討を加えた.【結果】平均CDAIはGMA 3回施行後 252±107.2へと低下し(P<0.001),終了時 224.5±105.9に改善した(P<0.001).有効率は66.7%(10/15),寛解率は40%(6/15)であった.寛解例は非寛解例と比較して,平均罹病期間が短く(71.3±55.2ヶ月 vs 154.7±64.8ヶ月:P=0.023),治療前CDAIが低値であった(258.8±46.9 vs 363.4±92.3:P=0.025).また,IFX二次無効例および手術歴のある症例において,寛解率が有意に低値であった.有効率に,罹病期間・治療前CDAI・手術歴・IFX抵抗性は有意な影響を及ぼさなかった.【結論】罹病期間が短く,IFX使用歴がなく,手術歴がなく,CDAIが250前後の症例,すなわち発症早期の中等症CDにおいてGMAの寛解導入効果が最も期待されることが示された.一方,有効率に影響を与える因子は今回の検討では明らかにされなかった.今後のさらなる症例の蓄積と検討によりCDにおけるGMA治療の位置づけを考察する必要がある.
索引用語 クローン病, 顆粒球吸着療法