セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

クローン病-大腸5

タイトル 消P-283:

Crohn病の腸管合併症に対する手術適応と内科的治療の限界

演者 横山 薫(北里大東病院・消化器内科)
共同演者 小林 清典(北里大東病院・消化器内科), 加藤 彩(北里大東病院・消化器内科), 中目 哲平(北里大東病院・消化器内科), 迎 美幸(北里大東病院・消化器内科), 小川 大志(北里大東病院・消化器内科), 佐田 美和(北里大東病院・消化器内科), 小泉 和三郎(北里大東病院・消化器内科)
抄録 【目的】腸管合併症(狭窄,瘻孔,膿瘍)を有するCrohn病(CD)の中で、内科治療に抵抗性で外科治療を要する症例の特徴を明らかにする。
【対象】2005年~2011年3月に当院を初回受診した117例中、外科手術の既往がなく初回検査で腸管合併症を認めた25例とした。合併症の定義は、狭窄は造影検査で病変部が周囲腸管の1/4以下または細径スコープが通過しない。瘻孔は造影検査、膿瘍はCTで確認された病変とした。診断時年齢は31.4±11.1歳、罹病期間4.4±3.9年、経過観察期間は2.5±1.3年であった。病型は小腸型と小腸大腸型が各48%で大腸型が4%であった。受診後の治療内容で内科治療群(N群)19例と外科手術群(O群)6例の臨床所見や腸管合併症の内容を比較した。N群でも経過中に外科手術を要した症例についても解析した。
【成績】1)NとO群で背景因子に差は認めなかった。2)腸管合併症として狭窄を全例に認めた。狭窄の部位や数、長さ、口側腸管の拡張の有無は両群で差はなかったが、O群の狭窄は全て紐状で高度だった。内瘻はO群の4例(67%)に認め、N群の2例(11%)より有意に高率であった(p<0.05)。膿瘍はN群の2例(11%)に認めた。3) N群で内科治療を継続できた15例と経過中に外科手術を要した4例で、初回検査時の腸管合併症を比較したが差は認めなかった。内科治療は抗TNF-α抗体製剤は内科治療を継続できた4例(27%)に投与されていた。在宅経腸栄養療法は手術の有無にかかわらず高率に行われていた。なお外科手術を要した4例は、経過中に新たな腸管合併症への進展を全例で認め、内訳は内瘻が2例、穿孔と膿瘍が各1例であった。受診から手術まで平均期間は11.1±4.9ヶ月であった。なお内科治療を継続できた15例で、新たな腸管合併症への進展を認めたのは1例のみであった。
【結論】紐状の高度狭窄や内瘻を有する症例の多くは外科手術が選択された。また経過中に新たな腸管合併症へ進展した例は、内科治療に抵抗性で外科治療が必要になる頻度が高いことが示唆された。
索引用語 Crohn病, 腸管合併症