セッション情報 |
ポスターセッション(消化器病学会)
大腸-基礎1
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タイトル |
消P-287:水回避ストレス誘発排便亢進における刺激伝達経路の解析
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演者 |
須田 一徳((株)ヤクルト本社・ヤクルト中央研究所) |
共同演者 |
河合 光久((株)ヤクルト本社・ヤクルト中央研究所), 松本 敏((株)ヤクルト本社・ヤクルト中央研究所) |
抄録 |
【目的】ヒトを含む多くの哺乳類は、ストレスにより大腸運動亢進や内臓知覚過敏が惹起される。大腸には迷走神経および骨盤神経が投射されている。ストレス誘発性の大腸運動亢進には、中枢から迷走神経を介した刺激伝達系の関与が明らかになっているが、骨盤神経系の役割は明らかではない。本実験では、水回避ストレス (Water avoidance stress; WAS)の大腸運動亢進機構における骨盤神経を介した刺激伝達系の役割について解析した。また、液性のストレス刺激伝達系である視床下部-下垂体-副腎皮質系 (HPA-axis)の関与についても検討した。【方法】副腎切除、腹部迷走神経切断または骨盤神経切断手術をSDラットに施した。対照群は偽手術を行った。術後1週で、ラットにWASを1時間負荷し、排便数を計測した。また、大腸起始部に留置したカテーテルからフェノールレッドを注入し、大腸内の色素量を測定することにより大腸輸送能を解析した。【結果】WASを負荷したラットでは、血中コルチコステロン濃度の上昇及び排便数の増加が観察された。副腎切除ラットでは、WASによる血中コルチコステロン濃度の上昇は認められなかったが、WAS負荷中の排便数は偽手術群と同様に有意に増加した。一方、迷走神経の切断により、WAS負荷による排便数の増加が有意に抑制された。大腸輸送能試験の結果から、迷走神経はWAS負荷時の近位および中位結腸の大腸輸送能の亢進に関与することが推定された。また、骨盤神経を切断したラットにおいても、WAS負荷中の排便数の増加が偽手術ラットに比べて有意に抑制された (p<0.05)。大腸輸送能試験の結果から、骨盤神経は、遠位結腸以降の大腸輸送能亢進に関与していることが推定された。【結論】WASによる排便の亢進に、中枢から迷走神経及び骨盤神経を介した経路が関与することが明らかになった。また、迷走神経は近位および中位結腸、骨盤神経は遠位結腸以降の大腸輸送能亢進にそれぞれ関与することが示唆された。これに対し、HPA-axisは、WAS誘発排便亢進に関与しないと考えられた。 |
索引用語 |
ストレス, 骨盤神経 |