セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸-基礎1

タイトル 消P-289:

autophagy不全はTNF-α存在下に腸管上皮細胞の接着能低下を来す

演者 齊藤 昌也(千葉大大学院・腫瘍内科学)
共同演者 勝野 達郎(千葉大大学院・腫瘍内科学), 齊藤 景子(千葉大大学院・腫瘍内科学), 佐塚 小百合(千葉大大学院・腫瘍内科学), 古矢 裕歩子(千葉大大学院・腫瘍内科学), 松村 倫明(千葉大大学院・腫瘍内科学), 中川 倫夫(千葉大大学院・腫瘍内科学), 佐藤 徹(千葉大大学院・腫瘍内科学), 新井 誠人(千葉大大学院・腫瘍内科学), 横須賀 收(千葉大大学院・腫瘍内科学)
抄録 【目的】Crohn病の疾患関連遺伝子としてautophagy関連遺伝子が注目されているが、病態形成に果たす役割は明らかでない。そこで今回、炎症性サイトカインに晒された腸管上皮細胞において、autophagyが果たす役割を明らかにするため検討を行った。【方法】ヒト大腸上皮細胞(HT-29)およびラット小腸上皮細胞(IEC-18)を用いた。autophagyのマーカーにはLC3-II(microtubule-associated protein light chain 3-II)を用い、蛋白量はWestern Blottingにより、その局在は細胞免疫染色を行い共焦点顕微鏡により評価した。autophagy阻害には3-MA(3-methyladenine)と、ATG5およびATG16L1を標的としたsiRNAを用いた。【結果】各種サイトカイン(TNF-α, IFN-γ, IL-10, IL-13, IL-17)を添加して24時間後、TNF-αでは著明にautophagyが誘導されたが、他のサイトカインではTNF-αほどの差はみられなかった。次にautophagy不全が引き起こす病態を検討するため、TNF-α刺激下に3-MAおよびsiRNAでautophagy阻害し細胞形態を観察したところ、剥離した細胞数が著明に増加した(HT-29で6.3倍、IEC-18で14.1倍)が、autophagy阻害のみ、あるいはTNF-α刺激のみでは剥離は僅かであった。更に剥離した細胞をトリパンブルー染色すると80~90%は染色されず、剥離は細胞死の結果ではないと考えられた。細胞骨格としてF-actin、接着因子として活性型integrin-β1を検討したところ、TNF-α刺激でstress fiberおよび活性型integrin-β1発現が増加したが、TNF-α刺激下にautophagy阻害をするとstress fiberは保たれたまま活性型integrin-β1発現は著明に低下した。【結論】autophagy不全を伴う腸管上皮細胞はTNF-αに晒されると活性型integrin-β1の発現低下から接着能低下を来たすことが明らかとなり、autophagy不全がCrohn病における粘膜障害の一要因となることが示唆された。
索引用語 Crohn病, autophagy