セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸-基礎1

タイトル 消P-290:

二光子レーザー顕微鏡を用いたマウス腸管虚血再灌流モデルにおける大腸全層のin vivo real-time観察

演者 森本 雄貴(三重大大学院・消化管・小児外科学)
共同演者 田中 光司(三重大大学院・消化管・小児外科学), 松下 航平(三重大大学院・消化管・小児外科学), 川村 幹雄(三重大大学院・消化管・小児外科学), 奥川 喜永(三重大大学院・消化管・小児外科学), 問山 裕二(三重大大学院・消化管・小児外科学), 小池 勇樹(三重大大学院・消化管・小児外科学), 三枝 晋(三重大大学院・消化管・小児外科学), 沖上 正人(三重大大学院・消化管・小児外科学), 橋本 清(三重大大学院・消化管・小児外科学), 井上 靖浩(三重大大学院・消化管・小児外科学), 大井 正貴(三重大大学院・消化管・小児外科学), 内田 恵一(三重大大学院・消化管・小児外科学), 毛利 靖彦(三重大大学院・消化管・小児外科学), 楠 正人(三重大大学院・消化管・小児外科学)
抄録 <背景>絞扼性腸閉塞手術時における腸管壊死と切除範囲の判定は、腸管大量切除とそれに伴う短腸症候群を防ぐ意味で大変重要であるが、その術中判断にはしばしば難渋する。二光子レーザー顕微鏡(two photon laser scanning microscopy: TPLSM)は、長時間の組織深部観察が可能なモダリティーであり、マウス大腸の各層(漿膜から粘膜まで)を600倍以上の倍率で生体内リアルタイムに観察できる。<目的>。マウス腸管虚血再灌流モデルにおいて、虚血時と再灌流後の消化管(大腸)全層を同一マウスにてTPLSMを用いてin vivo real-timeに観察し、腸間膜血流障害が消化管各層にどのような形態学的変化をもたらすのかを評価する。<方法>Green Fluorescent Protein (GFP)発現マウスの回結腸動静脈をクランプし一旦閉腹。6時間後開腹し、盲腸を脱転、固定し、TPLSMにて観察。TPLSM下でデクランプ後の血流再開を確認し、閉腹。デクランプ後18時間後に再びTPLSMにて盲腸全層観察し、腸管虚血再灌流障害を形態学的に評価した。<結果>回結腸動静脈の6時間クランプでは、漿膜下、粘膜下層の微小血管において血流速度の低下、白血球のrolling、血小板血栓形成が観察された。また、漿膜から筋層にかけての炎症細胞浸潤が著明で、筋層の厚みが増していた。粘膜固有層も炎症細胞浸潤と浮腫がみられた。陰窩上皮細胞の萎縮、変形、欠損などはみられなかった。デクランプ後18時間では、血流速度は正常レベルに回復したが、組織への炎症細胞浸潤(漿膜から筋層と陰窩間隙で観察)はむしろ増加していた。今後、形態学的変化の定量化や虚血と壊死の境界点での形態学的変化を評価していく必要がある。<結語>腸管虚血再灌流モデルにおいて同一マウスの大腸全層をin vivo real-timeかつ継時的にTPLSMにて観察する実験系を確立した。
索引用語 虚血性大腸炎, 二光子レーザー顕微鏡