セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸-基礎2

タイトル 消P-291:

マウス腸炎モデルにおける腸炎惹起性CD4+T細胞の増殖はIL-7とNK細胞により制御される

演者 山地 統(東京医歯大・消化器病態学)
共同演者 戸塚 輝治(東京医歯大・消化器病態学), 鬼澤 道夫(東京医歯大・消化器病態学), 柘植 直人(東京医歯大・消化器病態学), 鈴木 雅博(東京医歯大・消化器病態学), 永石 宇司(東京医歯大・消化器病態学), 金井 隆典(慶應義塾大・消化器内科), 渡辺 守(東京医歯大・消化器病態学)
抄録 【背景・目的】移入大腸炎モデルはnaive CD4+T細胞(CD4+CD45RbhiT細胞)をRAG欠損(RAG KO)マウスに移入することで発症する大腸炎モデルで、我々はIL-7非存在下(IL-7×RAG二重欠損(IL-7DKO)マウスへの移入)では腸炎が発症しないことを報告した。一方でin vitroでのTh1細胞やTh17細胞の分化誘導にIL-7は必須ではないことから、IL-7の有無のみならず他の機序も腸炎発症の抑制に関与していると推測し、腸炎発症におけるNK細胞の役割を検討した。【方法】1)RAG KOマウス及びIL-7DKOマウスのNK細胞の表面抗原や、naive CD4+T細胞や腸炎惹起性CD4+T細胞に対する細胞障害活性等の解析を行った。2)RAG KOマウスへ抗アシアロGM1抗体を投与することでNK細胞を除去し、naive CD4+T細胞移入後1、3、5、7日目のCD4+T細胞の動態を解析した。3)RAG KOマウス、IL-7DKOマウスへnaive CD4+T細胞を移入し、抗アシアロGM1抗体を0-12週投与した群、0-4週投与群、4-12週投与群及び抗体非投与群で比較し12週後に解析した。【結果】1)RAG KOマウスとIL-7DKOマウスの間でNK細胞の表面抗原や細胞傷害活性に有意な差を認めなかった。脾臓NK細胞はnaive CD4+T細胞への傷害活性は認めなかったが、腸炎惹起性CD4+T細胞への細胞傷害活性を認めた。2)RAG KOマウスへ抗アシアロGM1抗体を投与することでnaive CD4+T細胞移入後5日目より腸間膜リンパ節のCD44+CD62L-CD4+T細胞およびCD44-CD62L-CD4+T細胞が増加した。3)IL-7DKOマウスへnaive CD4+T細胞を移入した群は腸炎を発症しなかったが、IL-7DKOマウスへ抗アシアロGM1抗体を0-12週投与した群では腸炎を発症した。更に、抗体の0-4週投与群においても腸炎は発症し、投与中止後も腸炎が持続した。しかし4-12週投与群では腸炎発症を認めなかった。【結論】NK細胞がnaive CD4+T細胞移入後の早期に腸炎惹起性CD4+T細胞を排除することで、IL-7DKOマウスが腸炎を発症しないことを明らかにした。
索引用語 腸炎モデル, NK細胞