セッション情報 | ポスターセッション(消化器病学会)大腸-基礎2 |
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タイトル | 消P-294:ポリラクトサミンを介したB細胞とマクロファージにおける腸炎保護作用 |
演者 | 藤井 宏修(大阪大大学院・機能診断科学) |
共同演者 | 新崎 信一郎(大阪大大学院・機能診断科学DELIMITER大阪大大学院・消化器内科学), 飯島 英樹(大阪大大学院・消化器内科学), 向井 章(大阪大大学院・消化器内科学), 井上 隆弘(大阪大大学院・消化器内科学), 中島 佐知子(大阪大大学院・消化器内科学), 考藤 達哉(大阪大大学院・消化器内科学), 辻井 正彦(大阪大大学院・消化器内科学), 竹原 徹郎(大阪大大学院・消化器内科学), 三善 英知(大阪大大学院・機能診断科学) |
抄録 | 【背景・目的】炎症性腸疾患においてガラクトース欠損IgGの増加が認められるが、IgG糖鎖のガラクトース付加に不可欠であるbeta-1,4-galactosyltransferase I(B4GalT)欠損マウスにDSS腸炎を作成すると、野生型に比してむしろ腸炎は改善した。この腸炎改善にはB細胞とマクロファージを介したIL-10産生が重要な役割を果たしている。本研究では、糖鎖変化に伴う細胞間コミュニケーションがIL-10 産生に及ぼす機構をさらに詳細に検討した。【方法】Adoptive transfer腸炎モデルはCD4+CD62L+T細胞をRag2-/-マウスに移入して作成した。B4galt+/-とB4galt+/+マウスの腸間膜リンパ節(MLN)よりMACSにて分離したCD11b+マクロファージ及びCD19+B細胞を共培養し、ELISAにて培養上清のIL-10産生を測定した。細胞表面の糖鎖構造はレクチンアレイで解析した。【結果】B4galt+/-マウスのMLN由来CD19+B細胞とCD4+CD62L+細胞を同時にRag2-/-マウスに投与したところ、B4galt+/+マウスB細胞を投与したマウスに比して腸炎が改善された。B4galt+/- B細胞とB4galt+/-マクロファージを共培養したところ、他の組み合わせと比べて最もIL-10の産生が多かった。このIL-10産生は、Transwellを用いて細胞間接触を阻害したところ減少した。レクチンアレイにより細胞表面の糖鎖構造を検討したところ、B4galt+/-マウスにおけるB細胞とマクロファージのポリラクトサミン構造がB4galt+/+ マウスに比して増加していた。そこで、B細胞とマクロファージの共培養系においてポリラクトサミンの相互作用を阻止したところIL-10産生が低下した。またポリラクトサミンの相互作用を刺激すると、IL-10の産生は増加した。【結論】B4GalT活性の低下がマウス腸炎を改善する機序として、ポリラクトサミンを介したB細胞とマクロファージとの直接的相互作用によるIL-10産生が寄与していると示唆された。 |
索引用語 | 糖鎖, IL-10 |