セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸-基礎3

タイトル 消P-300:

IFN-αと抗PD-1抗体を用いた消化器癌に対する免疫療法の検討

演者 大森 里紗(昭和大病院・消化器内科)
共同演者 江口 潤一(昭和大病院・消化器内科), 梶原 敦(昭和大病院・消化器内科), 土肥 弘義(昭和大病院・消化器内科), 坂木 理(昭和大病院・消化器内科), 平出 綾子(昭和大病院・消化器内科), 石井 成明(昭和大病院・消化器内科), 広石 和正(昭和大病院・消化器内科), 井廻 道夫(昭和大病院・消化器内科)
抄録 【目的】消化器癌患者は免疫抑制状態に陥っていることが多く、免疫療法で消化器癌を治療するには、強く抗腫瘍免疫を誘導する必要がある。Programmmed Death-1(PD-1)は活性化したリンパ球の表面にある受容体の一種で、活性化リンパ球を沈静化する負のシグナルの伝達に関与しているため、PD-1を阻害することにより、従来の免疫療法の効果を増強することが想定される。本研究では強い抗腫瘍効果を持つIFN-α療法に抗PD-1抗体を併用した免疫療法に対する評価を行うことを目的とする。【方法】消化器癌細胞株として、マウス大腸癌細胞株MC38を用いた。In vivoの治療モデルとして、野生株を皮下接種しあらかじめ皮下腫瘤を形成したマウスに、IFN-αを遺伝子導入したマウス消化器癌細胞株 (MC38-IFNα) 3 x 105 cellsと抗PD-1抗体 (250µg/mouse) とを治療目的に投与した後、野生株腫瘤の大きさを経時的に測定した。抗腫瘍効果の作用機序を検索するため、同モデルで野生株腫瘤内に浸潤している免疫細胞を、免疫組織染色で観察した。【結果】MC38-IFNαと抗PD-1抗体を併用して治療することにより、IFN-αや抗PD-1抗体単独治療と比較し、野生株腫瘤の増大が有意に抑制された(対照群321.7±39.23 mm2 vs 併用治療群174.2±35.5 mm2, p=0.03)。また免疫組織染色ではIFN-αと抗PD-1抗体で治療したマウスの野生株腫瘤内に、CD4陽性細胞が多く浸潤していた(対照群4.4±4.2/視野 vs 併用治療群60.0±44.4/視野, p=0.02)。【考察】細胞性免疫の活性化、MHC Class I分子の発現増強、樹状細胞の成熟促進、細胞傷害性T細胞のアポトーシス抑制などの多彩な免疫賦活効果を示すIFN-αの抗腫瘍作用を、抗PD-1抗体は増強することが明らかとなった。この治療は今後、臨床への応用も期待できると考えられた。
索引用語 抗PD-1抗体, 癌免疫療法