セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸-基礎3

タイトル 消P-302:

大腸癌組織におけるAngiopoietin-2発現、TIE2陽性単核球の間質浸潤とリンパ節転移との関連に関する検討

演者 良永 雅弘(国立別府医療センター・消化器内科DELIMITER国立別府医療センター・臨床研究部)
共同演者 杣田 真一(国立別府医療センター・消化器内科), 崎山 裕美子(国立別府医療センター・消化器内科), 加来 豊馬(国立別府医療センター・消化器内科), 鶴田 悟(国立別府医療センター・消化器内科), 酒井 浩徳(国立別府医療センター・消化器内科), 中村 和彦(九州大・病態制御内科), 武藤 庸一(国立別府医療センター・消化器内科)
抄録 目的:がん組織において、Angiopoietin-2 (ANGPT2)の発現亢進は、直接血管内皮細胞に発現したTIE2受容体を介し、血管新生を促進するのみならず、間質へ浸潤したTIE2陽性単球を介し、癌細胞の浸潤や血管新生を促進させる。近年、ANGPT2発現は、がんのリンパ節転移とも関連すると報告されている。そこで、大腸癌の切除標本を用い、癌組織内のANGPT2発現及びTIE2陽性(TIE2+)単核球の間質浸潤とリンパ節転移との関連につき検討を加えた。方法:2003年-2007年に、当院で外科的に切除された大腸癌64例を対象とした。それぞれの切除標本に対し、ANGPT2, TIE2に関し免疫染色を施行した。TIE2+単核球の間質への浸潤程度は、光学顕微鏡下 x400 4視野中のTIE2陽性単核球数を計測し、その平均とした。ANGPT2発現およびTIE2+単核球浸潤の有無でリンパ節転移率を比較した。又、Kaplan-Meier生存曲線を用いて、各群間で生存率を比較した。成績:大腸癌細胞におけるANGPT2発現は全症例の53.1 %に認めた。TIE2+単核球の大腸癌組織間質への浸潤は全症例の57.8 %に認めた。癌細胞におけるANGPT2発現とTIE2+単核球浸潤には関連を認めなかった(65.2 % vs. 50 %、NS)。ANGPT2陽性例は陰性例に比較し有意にリンパ節転移が高率で(65.2 % vs. 27.3 %、P< 0.05)、TIE2+単核球浸潤陽性例でも同様の結果だった(61.5 % vs. 26.3 %、 P < 0.05)。ANGPT2発現およびTIE2+単核球浸潤の有無で症例を4群に分け、リンパ節転移率に関し比較したところ、ANGPT2陽性かつTIE2+単核球浸潤陽性例は他群に比較し、有意にリンパ節転移率が高く(80.0 % vs. 30.0 %、 P < 0.05)、生存率が有意に低かった。結論:大腸癌症例において、がん細胞のANGPT2発現かつTIE2陽性単核球の間質浸潤はリンパ節転移と関連があり、予後を悪化させることが示唆された。
索引用語 大腸癌, リンパ節転移