セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸-基礎4

タイトル 消P-303:

ヒト間葉系幹細胞を用いた大腸癌を標的とする新しいターゲティング治療の開発

演者 星野 剛(慶應義塾大病院・一般消化器外科)
共同演者 八木 洋(慶應義塾大病院・一般消化器外科), 石井 良幸(慶應義塾大病院・一般消化器外科), 遠藤 高志(慶應義塾大病院・一般消化器外科), 落合 大樹(慶應義塾大病院・一般消化器外科), 平田 玲(慶應義塾大病院・一般消化器外科), 代永 和秀(慶應義塾大病院・一般消化器外科), 星野 大樹(慶應義塾大病院・一般消化器外科), 星野 好則(慶應義塾大病院・一般消化器外科), 松永 篤志(慶應義塾大病院・一般消化器外科), 茂田 浩平(慶應義塾大病院・一般消化器外科), 瀬尾 雄樹(慶應義塾大病院・一般消化器外科), 馬渕 洋(慶應義塾大・生理学), 長谷川 博俊(慶應義塾大病院・一般消化器外科), 松崎 有末(慶應義塾大・生理学), 北川 雄光(慶應義塾大病院・一般消化器外科)
抄録 目的:大腸癌に対するターゲティング治療の開発を目指し、ヒト間葉系幹細胞の腫瘍への遊走能をin vitro、in vivoにて評価する。方法:大腸癌切除検体から分離した細胞、及びヒト大腸癌株WiDrに対して、ヒト間葉系幹細胞(MSC)が遊走能を有するか、癌細胞の培養上清を採取し、その刺激に対するMSCの移動をEZ-taxiscanを用いて経時的に測定することにより評価した。次にin vivoでのMSCの腫瘍遊走能を評価するため、まずエレクトロポレーションによってヒトMSCに60~70%の導入率をもってGFP遺伝子を導入し、大腸癌切除検体から分離した細胞及びヒト大腸癌株WiDrを背部皮下に生着させた免疫不全(NOG)マウスに対して、systemicなMSC投与を行い、経時的に蛍光イメージングシステムを用いた画像評価を行い、同時に免疫染色を用いて病理組織学的にも評価した。結果:ヒトMSCはヒト大腸癌細胞培養上清による刺激に対して、遊走能を有する事が示された。またGFP遺伝子は60~70%の効率でMSCに導入され、導入後の細胞生存率も80%以上と安定していた。遺伝子導入後7~10日まで培養細胞から十分なGFPの発現が観察されたため、これを用いて0.5x106の細胞をsystemicにマウスに投与し、全2週間の観察期間で、マウスに生着した腫瘍組織内およびその周囲へMSCが移動しているかを評価した。この結果蛍光イメージ、MSC特異的マーカー(CD90、105)によって間葉系幹細胞が腫瘍内に十分移行していることが経時的に観察された。考察:ヒト間葉系幹細胞が大腸癌に対して明らかな遊走能を持つことが示された。今後抗腫瘍因子を分泌する遺伝子改変間葉系幹細胞を作成することによる、新しい工学的アプローチを用いた副作用の少ないターゲッティング治療の開発を目指す重要な布石となると考える。
索引用語 大腸癌, 間葉系肝細胞