セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸-基礎4

タイトル 消P-304:

RAS inhibitorおよびcurcuminによる肥満関連大腸発癌の抑制

演者 久保田 全哉(岐阜大・消化器病態学)
共同演者 清水 雅仁(岐阜大・消化器病態学), 境 浩康(岐阜大・消化器病態学), 安田 陽一(岐阜大・消化器病態学), 田中 卓二((株)東海細胞研究所), 森脇 久隆(岐阜大・消化器病態学)
抄録 【目的】肥満は大腸発癌に深く関与している。レニン・アンジオテンシン系(RAS)は肥満との関連やRAS inhibitorによる抗腫瘍効果について報告がある。また、CurcuminはCurcuma longaに含まれる黄色色素で、抗炎症作用や抗腫瘍効果が報告されている。我々はRAS inhibitorとCurcuminの肥満関連大腸発癌抑制効果について、2型糖尿病モデルマウスであるdb/dbマウスを用いて検討した。【方法】5週齢のdb/dbマウスを9群に分け、第5、6、7、8、9群にはAzoxymethane (15mg/kg BW)を週1回、合計4回腹腔内投与した。AOM投与終了1週後より、第2群と第6群にはアンジオテンシン変換酵素阻害剤であるcaptoprilを、第3群と第7群にはアンジオテンシンII受容体拮抗薬であるtelmisartanを飲水投与、また第4群と第8群には2% Curcumin、第9群には0.2% Curcuminを含有した食餌を7週間投与した。17週齢で屠殺し、大腸前癌病変であるACF (aberrant crypt foci)、BCAC (β-catenin accumulated crypts)の数を測定した。また血清アディポサイトカインと大腸粘膜、脂肪組織における炎症性サイトカインの発現について解析を行った。【成績】RAS inhibitor、Curcuminの投与によってACFおよびBCACの発生は有意に抑制された。captopril、telmisartanは大腸粘膜におけるTNF-α mRNAの発現を抑制した。また脂肪組織におけるTNF-αCOX-2IL-1βIL-6PAI-1 mRNAの発現はcaptopril、telmisartanにより有意に低下した。さらに酸化ストレスのマーカーである尿中8-OHdGも有意に低下した。一方Curcuminは血清レプチンを低下させ、血清アディポネクチンを増加させた。大腸粘膜におけるTNF-αCOX-2IL-6 mRNAの発現はCurcuminによって有意に低下した。【結論】RAS inhibitorは炎症性サイトカインを抑制し、酸化ストレスを軽減させることで、Curcuminはアディポサイトカインの不均衡を改善し炎症性サイトカインを抑制することで、db/dbマウスの肥満関連大腸発癌を抑制した。
索引用語 大腸癌, 肥満