セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸-基礎4

タイトル 消P-305:

AP1Bの腫瘍発生における役割

演者 三村 美津子(三木市民病院)
共同演者 増田 充弘(神戸大・消化器内科), 佐貫 毅(三木市民病院), 吉田 優(神戸大・消化器内科), 東 健(神戸大・消化器内科)
抄録 <目的>AP1Bは上皮特異的に蛋白を基底膜側へ輸送する蛋白であり、上皮細胞において極性を制御している。癌細胞において腫瘍増生に細胞極性が関与していることが考えられるため、AP1Bと腸管腫瘍の関連を調べることにより、腫瘍増生のメカニズムを解明する。<方法・結果>Vivoの検討としてAPCmin/+ マウスを使用した。APCmin/+ マウスは腸管ポリープのモデルであり、小腸に多数のポリープを認める。APCmin/+ マウスの小腸上皮を採取し、adherence junctionを形成するβ-cateninとE-cadherinを免疫染色した。その局在により細胞極性を調べたところ、WTのマウスに比較してAPCmin/+ マウスでは細胞極性が乱れる傾向を認めた。また、WTの小腸に比較してAPCmin/+ マウスの小腸においてmRNA、蛋白レベルでAP1B発現が低下していることがわかった。Vitroの検討として元々AP1Bを持たないLLC-PK1細胞と、LLC-PK1細胞にAP1Bを過剰発現させた細胞を使用して細胞極性を調べた。AP1Bを欠損させると、細胞極性が乱れる傾向を認めた。また、同様にAPCに変異のあるSW480細胞と正常なAPCを発現させたSW480 細胞を使用して極性を調べたところ、APCに変異がある細胞では極性が消失しており、APCに変異がある細胞ではAPCが正常な細胞に比較してAP1Bの発現が低下していた。また、ヒトの大腸がんでβ-cateninが核内に移行している検体では、正常部に比較して、AP1Bの発現が低下していた。<結論>In Vivo、in vitroでAP1Bと腫瘍の関連性が示唆され、腫瘍増生のメカニズム解明につながると考えられる。
索引用語 AP1B, APC