セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸-基礎4

タイトル 消P-306:

大腸癌細胞におけるTLR-3とTLR-9の発現とその機能

演者 野尻 圭一郎(三重大附属病院・消化器・肝臓内科)
共同演者 杉本 和史(三重大附属病院・消化器・肝臓内科), 白木 克哉(三重大附属病院・消化器・肝臓内科), 為田 雅彦(三重大附属病院・消化器・肝臓内科), 稲垣 悠(三重大附属病院・消化器・肝臓内科), 草川 聡子(三重大附属病院・消化器・肝臓内科), 小倉 英(三重大附属病院・消化器・肝臓内科), 山本 憲彦(三重大附属病院・消化器・肝臓内科), 竹井 謙之(三重大附属病院・消化器・肝臓内科), 井上 英和(三重県立総合医療センター・消化器科), 高瀬 幸次郎(三重県立総合医療センター・消化器科)
抄録 【目的】ヒトの自然免疫による病原体の認識には、Toll-like receptor(TLR)を介し、IFNやNF-Kappa B等の抗ウイルス蛋白を活性するメカニズムがあるといわれている。我々は、これまで肝細胞癌株におけるTLR-3及び9の発現とその意義について報告してきた。また、TLR刺激に端を発するMyD88経路でのNF-Kappa B活性が、大腸癌の発生に関与する事が明らかになっている。今回我々は、大腸癌株におけるTLR-3及び9の発現とその機能について解析を行った。【方法】1.大腸癌株SW480、Colo320を用いて、Western blottingで発現を評価した。2.癌の分化度による発現程度を評価する為、免疫染色を行った。3.TLR-3リガンドpolyinosinic polycytidylic acid(Poly(I:C))投与による細胞表面レセプターの刺激群と、Poly(I:C)投与+ Lipofectionによる細胞内レセプター刺激群の細胞増殖抑制をMTT assayを用いて比較検討した。また、TLR-9リガンドCpG-DNA投与による細胞内レセプター刺激群の細胞増殖抑制をMTT assayを用いて検討した。【結果】1.WesternにてTLR-3、9共に細胞表面での発現を認めた。2.TLR-3の免疫染色では、正常組織で89%、低分化型で75%、中分化型で87%、高分化型で88%発現し、中分化型39%、高分化型32%に強発現を認めた。TLR-9の免疫染色では、正常組織で89%、中分化型で89%、高分化型で87%発現を認め、中・高分化型の40%に強発現を認めた。3.TLR-3におけるPoly(I:C)単独群、Poly(I:C)投与+ Lipofection共にCell viabilityの変化はなかった。一方、TLR-9におけるCpG-DNA刺激群のCell viabilityは軽度増加傾向であった。【結論】大腸癌では細胞表面にTLR-3、9の発現が認められ、特に中~高分化型で強発現が認められた。また、TLR-9はCpG-DNAの暴露により、大腸癌細胞増殖を誘導する可能性が示唆された。
索引用語 大腸癌, TLR