セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸-診断1

タイトル 消P-309:

大腸癌術前検査での各腫瘍マーカーの有用性の比較と検討

演者 岩本 博光(和歌山県立医大・2外科)
共同演者 瀧藤 克也(和歌山県立医大・2外科), 堀田 司(和歌山県立医大・2外科), 横山 省三(和歌山県立医大・2外科), 松田 健司(和歌山県立医大・2外科), 奥 喜全(和歌山県立医大・2外科), 橋本 忠通(和歌山県立医大・2外科), 家田 淳司(和歌山県立医大・2外科), 山本 直之(和歌山県立医大・2外科), 山上 裕機(和歌山県立医大・2外科)
抄録 p53遺伝子異常は悪性腫瘍において頻度が高く、これを有する細胞ではp53変異蛋白が発現し、血清中に抗p53抗体が出現する。そこで大腸癌術前検査における血清p53抗体検査の有用性について、従来の腫瘍マーカーと比較検討する。さらに術前検査における組み合わせについても検討する。【対象・方法】2008年6月から2010年8月に当科で手術を施行した278例の初発大腸癌に対し術前に血清p53、CEA、CA19-9の測定を行った。【結果】全症例における陽性予測値はp53が30.4%、CEAが26.5%、CA19-9が15.8%であり、p53とCA19-9の間に有意差(p<0.001)を認めた。p53とCEAを併用した場合の陽性予測値は49.1%、p53とCA19-9を併用した場合は40.9%で、日常臨床で用いているCEAとCA19-9を併用した場合は32.6%であった。また3種類すべてを併用した場合は52.9%であった。p53とCEAを併用した場合の陽性予測値は、CEAとCA19-9を併用した場合に対し有意に高かった(p<0.001)。さらに3種類を併用した場合も、CEAとCA19-9を併用した場合に対して有意に高かった(p<0.001)。しかしp53とCEAを併用した場合と3種類を併用した場合には有意差(p=0.35)を認めなかった。【結語】血清p53抗体検査は従来の血清腫瘍マーカー検査と同等か、もしくは優れたマーカーと考えられた。また日常臨床で用いられるCEAとCA19-9の併用よりも、CEAとp53の併用は術前の陽性予測値が有意に高いことがわかった。またこの組み合わせは3種類併用した場合と有意差を認めないため、術前評価においては最も有用な組み合わせと考えられた。
索引用語 血清p53抗体, 大腸癌術前検査