セッション情報 | ポスターセッション(消化器病学会)大腸-診断1 |
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タイトル | 消P-310:大腸がん患者における糞便中のmiR-21発現の検討:大腸がんスクリーニング検査を目指して |
演者 | 栗山 茂(浜松医大・1内科) |
共同演者 | 金岡 繁(浜松医大・分子診断学), 濱屋 寧(浜松医大・1内科), 山田 貴教(浜松医大・1内科), 杉本 光繁(浜松医大・1内科), 大澤 恵(浜松医大・1内科), 杉本 健(浜松医大・1内科) |
抄録 | 【目的】microRNA (miRNA)は約20~22塩基からなる短いnon-coding RNAで、転写後制御あるは翻訳制御によりmRNAの発現を調節する。大腸がんを含め多くの消化器がんではmiR-21が発現亢進し発がん・促進に関与するが、これはmiR-21がPTENなどの癌抑制遺伝子の発現を抑制し癌遺伝子的に働くためと考えられている。我々は糞便中のCOX-2 mRNA発現を指標にした大腸がん診断法を開発し、その有用性を報告してきた。今回、大腸がん患者における糞便中miR-21発現を解析しその大腸がん診断能について検討を加えたので報告する。【方法】内視鏡的・病理的に診断された大腸進行腫瘍130例 (進行腺腫24例、がん106例、病期は0期: I期: II期: III/ IV期=11: 24: 35: 34)と対照群119例を対象とした。糞便0.5gからRNAを抽出し、TaqMan MicroRNA assayを用いてmiR-21のqRT-PCRを行った。【結果】これまで用いてきた糞便からのRNA抽出法を改良することによりmiRNAの抽出が可能となった。アッセイ系の最適化後、合成miR-21 RNAを用いて検量線を作成しコピー数を算定した。コントロール群の糞便中miR-21発現は中央値5.1×104、平均値は6.5×104であるのに対し、がんは各々1.7×105、3.8×105、進行腺腫では1.9×105、2.8×105と腫瘍群で有意に高かった (P<0.0001)。腺腫を含めた各病期での糞便中miR-21発現と、占拠部位を脾彎曲部で分けた左側、右側での糞便中miR-21発現にも有意な差がなかった。カットオフ値を対照群全体の97.5 percentileに設定すると、大腸がん診断における特異度は98.3%(94.1%-99.8%)、感度は43.4%(33.8%-53.4%)、進行腺腫の感度は41.7%であった。【結論】糞便中のmiR-21発現は大腸腫瘍患者で発現が亢進しており、左右の占拠部位間と病期間での差がないのが特徴である。大腸診断法として高特異度を保持するもmiR-21単独では充分な感度が得られないため、他のmicroRNAを含めたマーカーの複数化が必要である。 |
索引用語 | 大腸がん, miR-21 |