セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸-診断1

タイトル 消P-311:

大腸がん、腺腫症例における糞便中COX-2発現の手術前後の変化

演者 濱屋 寧(浜松医大・分子診断学)
共同演者 金岡 繁(浜松医大・分子診断学), 栗山 茂(浜松医大・1内科), 山田 貴教(浜松医大・1内科), 杉本 光繁(浜松医大・1内科), 大澤 恵(浜松医大・1内科), 杉本 健(浜松医大・1内科)
抄録 【目的】我々は大腸がん患者において糞便中COX-2 mRNA発現が亢進し、それを指標にした大腸がん診断の有用性を報告してきた。濱屋らの検討では、糞便中COX-2 mRNA発現は原発腫瘍でのCOX-2 mRNA発現と糞便への剥奪細胞数に影響されることから、糞便中COX-2 mRNA発現は原発腫瘍から由来する可能性を報告した (Br J Cancer 2010)。今回手術的または内視鏡的切除により糞便中COX-2 mRNA発現がどのように変化するか検討を行ったので報告する。【方法】対象は大腸腫瘍16例(がん14例、1cm以上の進行腺腫2例)、手術的または内視鏡的切除前後に糞便を採取した。14例のがんの病期は0期:I期:II期=2: 6: 6である。0.5gの糞便よりRNAを抽出し、beta2-microglobulin (B2M)、COX-2、MMP-7の発現をスタンダードプラスミドを用いた定量的RT-PCRにて検討した。【結果】摘出後の大腸内視鏡検査で全例にclean colonを確認した。全例で糞便B2Mの発現を確認した。摘出前後の各マーカーの発現の中央値は、B2Mは前が7525 (1108-351042)、後が996 (109-10012)、COX-2は各255 (0-15023)と2 (0-10)、MMP-7は4 (0-166)、0 (0-3)であった。3マーカーとも摘出後よりも前が有意に高かった(P<0.05, Wilcoxon signed-rank test)。腫瘍表面積と摘除前後の発現差との検討では、B2Mは相関を認めなかったが、COX-2とMMP-7では有意な正の相関を認めた(各r=0.773, P<0.0005; r=0.664, P<0.005)。また、摘出腸管長と摘除前後の発現差はどのマーカーも相関を認めなかった。【結論】今回の検討からも糞便中のB2M発現は大腸粘膜全体から由来するのに対し、糞便中のCOX-2とMMP-7の発現は腫瘍組織から由来すると考えるのが妥当である。以上からこのアッセイが大腸腫瘍の存在診断に適していると考えられた。
索引用語 大腸がん, 糞便中COX-2 mRNA発現